シャープ、「IGZO」採用の中小型液晶パネルを世界初実用化 年内量産へ
酸化物半導体(IGZO)によるTFTを採用した世界初の中小型液晶パネルをシャープが開発し、年内に量産を開始する計画だ。アモルファスシリコンTFTに比べ省電力化・高精細化でき、急増するモバイル端末向け需要に対応する。
シャープは4月21日、酸化物半導体(IGZO)による薄膜トランジスタ(TFT)を採用した世界初の中小型液晶パネルを実用化し、亀山第2工場(三重県亀山市)で年内に量産を開始すると発表した。従来のアモルファスシリコンTFTに省電力化・高精細化できるのが特徴。需要が急増するスマートフォンやタブレット端末向けに供給していく。
インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)で構成する酸化物によるTFTを、半導体エネルギー研究所と共同開発。アモルファスシリコンに比べ電子移動度が20〜50倍程度高いため、同じ駆動電力であればTFTの小型化が可能。TFTが画素に占める面積が小さくなる分、画素を高開口率化=光の透過量を増やすことができ、バックライトを抑えることによる省電力化や、高精細化につながるという。
試作した10インチパネル(フルワイドXGA)では、アモルファスシリコンTFT液晶に比べ、IGZO液晶は約3分の1に省電力化できたという。
生産は、既存のアモルファスシリコンTFT生産ラインの改造で対応可能で、迫周司ディスプレイデバイス事業本部副本部長は「他社同等品と比べて競争力はある」としている。
生産は、亀山第2工場の第8世代ガラス基板対応ラインを改造して年内に始める計画。スマートフォンやタブレットが主な用途になると見られるが、具体的な最終製品やライン改造に必要な投資額については「現時点では答えを差し控えたい」(迫副本部長)とした。
同社はより電子移動度が高いCGシリコン液晶技術を持っており、「300ppi以上の精細度はCGシリコン、その下はIGZOを使っていく」という。「4インチパネルであればIGZOなのか」という質問には「具体的な製品については当社とお客様の商品戦略に関わるのでお答えできない」としている。
同社は前日の20日、「米AppleがiPhone用液晶パネルの国内供給元を東芝に絞り込んだ」という一部報道に対し、「事実に反する一方的な内容」と強く抗議した。
生産設備の中国移設によりスペースが空いている亀山第1工場の今後について、迫副本部長は「きょうはコメントは差し控えたい」とした。
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