ソニーは4月30日、2016年3月期(2015年度)の連結営業利益(米国会計基準)は前期から4.7倍の3200億円になる見通しだと発表した。最終損益は1400億円の黒字への転換を見込む。
前期に計上したモバイル子会社の減損やPC事業売却に伴う費用などがなくなる上、構造改革の一段落でコストが減少を見込む上、デバイス事業で増益を見込むためとしている。
売上高は3.8%減の7兆9000億円と予想。モバイル事業はスマートフォン戦略の見直しで販売台数減を予想するほか、ゲーム事業ではPlayStation 3の販売減や為替の影響を想定するなど、デバイスと映画以外は減収を見込んでいる。
テレビ事業の黒字化果たす
15年3月期の連結決算は、売上高が前期比5.8%増の8兆2158億円、営業利益が2.6倍の685億円だった。モバイル事業で1760億円の減損を迫られたものの、デバイスやゲーム&ネットワークサービス事業、ホームエンタテインメント&サウンド事業で大幅に損益が改善した。最終損益は1259億円の赤字だった。
ゲーム&ネットワークサービス事業は、売上高が33.0%増の1兆3880億円、営業損益は481億円の黒字(前期は188億円の赤字)。PlayStation 4ハード/ソフトの販売増などから増収となり、黒字転換した。
懸案だったテレビ事業は、売上高が10.7%増の8351億円、営業損益は83億円の黒字(前期は257億円の赤字)と、黒字転換を果たした。販売台数の増加に加え、コスト削減と高付加価値モデルへのシフトで損益が改善した。
モバイル事業は売上高が11.0%増の1兆3233億円だったのに対し、営業損益は2204億円の赤字(前期は126億円の黒字)だった。モバイル子会社の営業権減損に加え、ドル高の悪影響で損益が悪化した。
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