国内の携帯電話出荷数、3年連続減少 “ガラケー”7年ぶりに前年上回る SIMロック解除、MVNOが今後のカギに
14年度の国内の携帯電話出荷数は3年連続減少。スマホは低調な一方、“ガラケー”は7年ぶりに前年を上回る――MM総研が調査結果を発表した。
MM総研が5月14日に発表した調査結果によると、2014年度(2014年4月〜2015年3月)の国内携帯電話端末の総出荷台数は前年度比3.9%減の3788万台と、3年連続で減少した。スマートフォンが2年連続で減少した一方、フィーチャーフォン(従来型携帯電話)は07年度以来7年ぶりに前年度を上回った。
スマートフォンの出荷台数は7.2%減の2748万台で、12年度をピークに2年連続で減少した。フィーチャーフォン出荷台数は6.0%増の1040万台となり、全体に占める比率は27.5%(2.6ポイント増)となった。スマートフォンが年間100万台規模で出荷され始めた07年度以降で、フィーチャーフォン出荷台数が前年を上回るのは初めて。
フィーチャーフォンが根強い支持を集めている理由として、(1)スマートフォンの月額利用料金が高い、(2)該当ユーザー層にとって必要十分な機能を備えている、(3)スマートフォンに買い替えたユーザーが再びフィーチャーフォンを購入する比率の増加――の3点を分析する。
対して、スマートフォンの出荷台数減の要因としては(1)フィーチャーフォンからの移行ペースの鈍化、(2)機能・性能が大半のユーザーの満足できる水準に達し、買い替えの必要性が低下――という2点をあげ、「端末本体ではなく、サービスへの興味関心が高まった結果」としている。
メーカー別シェアはApple(40.7%)が3年連続の1位に。次いでシャープ(13.4%)、ソニーモバイルコミュニケーションズ(11.2%)、京セラ(11.1%)、富士通(7.3%)だった。
15年度の総出荷台数は0.6%増の3810万台、うちスマートフォンは4.1%増の2860万台と予測する。
今後、市場規模を左右するポイントとして、SIMロック解除の義務化とSIMフリー端末やMVNOサービスの台頭を挙げる。SIMフリー端末の出荷台数は、現状では全体の3%程度の約100万台と推計し、フィーチャーフォンからの乗り換えや節約志向の高まりによる拡大を見込む。
NTTドコモ、KDDIは夏モデルで“ガラケー”のボディと操作感を残しながらAndroid OSを搭載した“ガラホ”を投入。安価な料金プランでフィーチャーフォン利用層の乗り換えを狙う。MM総研は、「大手キャリアとMVNOによる競争激化は必至であり、SIMフリー端末を含めた携帯電話端末市場が転換期を迎えようとしている」と結んでいる。
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