ニュース
人種、性別……人から偏見を減らす方法が見つかる? カギは「眠りと音」 米研究
音と睡眠を組み合わせることで、人が持つ人種や性別についての隠れた偏見を減らすことができたという研究を米大学が発表した。
音と睡眠を組み合わせることで、人が持つ人種や性別についての隠れた偏見を減らすことができた──こんな研究結果が米科学誌「Science」(5月29日付け)に掲載された。
研究では、人種と性別(ジェンダー)について抱いている無意識的な偏見について実験。コンピュータを使い、黒人と「心地よい」、女性と「数学」「科学」といった、偏見へのカウンターとなる組み合わせを表示し、その際にボタンを押してもらい、特定の音を鳴らした。
その上で、被験者に昼寝をしてもらった。睡眠中には眠りを妨げない程度に、偏見へのカウンターと結びつけた音を聴かせた。その結果、被験者の偏見を減らすことができ、その効果は少なくとも1週間持続したという。
「人が持つ偏見について、継続的な変化をもたらす試みはチャレンジングなものだ。人は長年の社会生活を通じて偏見を持つようになり、これらはマスメディアを通じて補強されている」と、論文を発表した米ノースウェスタン大学の研究者はいう。
偏見を減らす方法として、偏見へのカウンターを利用する手法は既に研究されており、また睡眠による学習効果も知られている。今回の研究はこれらを効果的に組み合わせたもので、今後は意識的な偏見も減らすことができるのか、さらに研究を続ける考えだ。禁煙治療や恐怖症の克服などの新たな手法にもつながる可能性があるという。
関連記事
- 43万年前の“殺人事件”見つかる 頭蓋骨に攻撃の跡
「最古の迷宮入り事件」──43万年前の殺人事件の跡が、スペインで出土したヒト属の頭骨に見つかった。 - “3D酔い”なぜ起きる? 脳活動の「左右差」、京大など解明
3D映像などを見て“映像酔い”が起きる際、映像の動きを検出する脳の活動が、右脳と左脳の間で乖離する現象を、京大などの研究グループが発見した。 - 「白と金」「いや青と黒だ」あなたはどっちに見える? 1枚の写真をめぐりネットで激論
ある1枚の写真をめぐり、ソーシャルメディアで激論が交わされている。ドレスを写したなんの変哲もない写真だが、見る人によって色が違うというのだ。 - ネット検索は「自分は賢い」と錯覚させる 米研究
ネット検索は、ネット上の知識と自分の知識を混同させてしまうことで、実際以上に自分が賢いと錯覚させてしまう可能性があるという。 - Appleロゴ、正しく描ける? 心理学者がテスト 85人中、正解はたった1人
Appleロゴを記憶だけで描いてください──米国の心理学者が大学生にテストをしたところ、正確に描けたのは85人中たった1人だったという。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.