「グローバルとデジタルでシナジー」「編集権の独立は維持」――日経、FT買収の狙い(2/2 ページ)
「グローバルとデジタルでシナジーを出す」――日経のFT買収について岡田社長が記者会見し、狙いを語った。FTの編集権の独立は維持。「経営に細かく口を出すことはない」という。
編集権の独立は維持 「経営に細かく口を出すことはない」
FTの人員削減や拠点の統廃合などは考えておらず、経営陣や編集局長などの体制も維持する方針。「FTの経営や報道のスタイルを変えたいとは思っていない。FTはFTのまま強くなることが日経にとっていいことだ」と喜多恒雄会長は述べ、岡田社長は「FTの積極的な投資・成長への投資を支援したい」と話す。
編集権の独立も維持する。FTが報道する日本政府や日本企業、日経新聞に関するネガティブな情報を日経側から止めたり、そういった情報を書いた記者を処分するといったことも行わないと岡田社長は明言した。
「日経とFTが合体するのではなく、FTはFT、日経は日経であり続ける。お互いの編集方針、編集局のカルチャーは尊重しあう。編集権の独立は簡単なことではないが、覚悟を持ち、今まで通りでやってほしいとFTに言っている」(岡田社長)
「価値観が同じ」
日経とFTはこれまで、記事の相互提供を続けてきたほか、共同で特集を展開したり、セミナーを行うなど協業してきた。交流を進める中で、「圧力に屈せず中立報道を続けるなど、FTの理念や価値観はわれわれと同じと確信した」(喜多会長)とし、グローバル化を進める際のパートナー候補の筆頭として、「Pearsonの経営陣に『FTの経営に関心がある』と折に触れて伝えてきた」という。
買収額の1600億円は日本のメディア企業による海外企業の買収としては過去最大規模。2013年、Amazon.com創業者のジェフ・ベゾス氏がWashington Postを買収した金額(2億5000万ドル・約310億円)の約5倍にのぼるが、「シナジーを含め、新たな成長が得られるという期待もあり、この金額を投じても十分に成長できる」(岡田社長)とし、金額は妥当だと説明する。
また「新聞社同士なので、利益を増やすためだけに買収したのではない。ジャーナリズムとしての価値、影響力をさらに高めたいという共通の思いを実現するための買収だ」と述べた。
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