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TPP、著作権問題は「非親告罪化」「死後70年」で決着か
TPPで著作権問題は「非親告罪化」「死後70年」で決着する見通しだと報じられている。日本で導入されればネットを含め大きな影響を及ぼすだろう。
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)をめぐり7月28日に始まる各国の閣僚会合を前に、著作権分野についての妥結内容が報じられてきている。毎日新聞は27日、著作権侵害を非親告罪化し、著作者の死後の著作権保護期間を死後70年とする方向で参加12カ国が合意する見通しだと報じた。
著作権侵害は現在、権利を侵害された著作者が訴えることができる親告罪だが、非親告罪化されれば著作者の告訴不要で警察による捜査が可能になり、一般からの訴えも可能になる。
映画などコンテンツ輸出が主産業の1つである米国が海賊版対策などとして導入を求めており、日本にとっては大きな転換となる。既存作品をもとに漫画の同人誌などを作る2次創作や、こうした作品が主流の同人誌イベントなどが影響を受ける可能性がある。フェアユースの導入も議論になりそうだ。
著作権保護期間の延長をめぐっては、現行法の50年のままとすべきか、70年に延長すべきかで激しい議論になり、最終的に法改正は見送られた経緯がある。TPP交渉で日本は「戦時加算」と呼ばれる保護期間の上乗せ(約10年)を撤廃した上で死後70年とすることを目指すという。
保護期間が終了した著者の作品を公開する「青空文庫」などは保護期間延長で大きな影響を受けるだろう。青空文庫は昨年、TPPによる保護期間延長の動きについて「私たちの今後得るはずの共有財産の幅を狭め、それどころか現在共有している財産すらも多数失わせるおそれがある」と危機感を表明していた。
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