「Sprintを売る気は全くない」と孫社長 「必ず改善してみせる」
「Sprintを売る気は全くない。買って良かったと思っている」――ソフトバンクグループの孫社長は、低迷する傘下の米Sprintの再建策を話した。
「Sprintを売る気は全くない。買って良かったと思っている」――ソフトバンクグループの孫正義社長は8月6日の決算会見で、低迷する傘下の米Sprintの再建策を話した。インフラを改善して顧客獲得を加速させ、同時にコストを削減。純有利子負債を圧縮し、2年ほどで経営を建て直すという。
ソフトバンクは2013年、米契約者数3位(当時)のSprintを買収。4位T-Mobileも買収して両社を合併させ、トップのVerizon Wireless、2位のAT&Tと並び立たせる計画だったが、米当局の反対でT-Mobileの買収に失敗。直近ではSprintはT-Mobileに抜かれて4位に転落し、今年4〜6月期は約2000万ドルの最終赤字に。ソフトバンクがSprintを売却し、米国から撤退するとの見方も浮上していた。
T-Mobileの買収に失敗した孫社長は、「いったんあきらめて自信をなくしていた」という。「冬の決算発表時は風邪も引いていて自信をなくしており、Sprintを売り払おうかというところまで覚悟したが、季節はめぐり、夏真っ盛り。風邪は完全に直り、自信がよみがえってきた。必ず改善してみせる」。
改善策は(1)営業費用の大幅な圧縮、(2)少ない設備投資でインフラを改善し、接続率をナンバーワンにする、(3)端末をリース販売し、リースファイナンスで資金需要をまかなう――の3つ。2006年にボーダフォンを買収してから日本で行ってきた「同じ成功のパターンをもってくる」と話す。
ネットワーク設計は孫社長が自ら陣頭指揮。「最小限の設備投資と期間で、ライバル企業を超える次世代の最強ネットワークを作ることを考えついた」という。端末のリース販売とリースファイナンスには、日本で割賦販売制度を立ち上げた経験を生かす。コスト削減を通じてSprintの純有利子負債を圧縮する考えで、社債の追加発行やエクイティファイナンスは行わず、「根本からSprintを改善する」としている。
Sprintの足下の業績は厳しいが、契約数が純増に転じたり、解約率が過去最少になるなど「この1年で改善した」という。「長いトンネルだったが改善への光が見えた。私の感覚と世の中のみなさんの間には2年ぐらい時差があると思うが、心はウキウキしている」とし、2年経つころには、経営が建て直った姿を見せられると展望した。
Sprintの業績への懸念でソフトバンクグループの株価は「実力以下で評価されている」とし、1200億円・2000万株を上限とした自社株買いの実施も発表した。
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