有料写真の無断使用、「ほかのサイトから入手したので知らなかった」は通用せず──判決が確定
有料写真素材のWebサイトでの無断使用は著作権侵害、「他サイトから入手した」「有料とは知らなかった」は通用しない――という判決が確定した。
有料素材サイトで販売されている写真について無断使用が発覚した際、「ほかのサイトからダウンロードしたので無断使用とは知らなかった」のだとしても、著作権は侵害したことになる──ストックフォトサービスを運営するアマナイメージズは、同社が有料販売する写真素材をWebサイトで無断使用した弁護士法人に対する訴訟について、同社の主張を認める判決が確定したと発表した。
これまで有料素材の無断使用が発覚した場合、「ほかのサイトから入手した」として賠償に応じないケースが多かったという。同社によると、判決では無料サイトからダウンロードしたものであっても「識別情報や権利関係の不明な著作物の利用を控えるべき義務がある」と判断し、著作物を利用する際には権利関係についての確認を義務付ける内容で、同社は「ネット環境が普及した現代に適合した、権利者を守る画期的判決」としている。
訴訟は、大阪市内の弁護士法人が有料写真をWebサイトに無断で使用したとして、同社が損害賠償を求めていたもの。東京地裁は今年4月、弁護士法人に対し約30万円の支払いを命じる判決を言い渡し、確定した。
同社によると、判決では、
(1)無料ダウンロードサイトから入手する場合であっても、著作物を利用する際は利用者側が権利関係について調査・確認する義務がある
(2)有料販売時は著作者の氏名表示がない使用を認めるが、無断で不正使用した場合は著作者人格権の侵害となる
(3)加害者側に著作権侵害の故意・過失があることを立証せずとも、無断使用の事実を被害者側が示せば、損害賠償責任が認められる可能性がある
──とした。同社は「クリエイティブ業務に従事するプロフェッショナルとして、権利関係の確認を怠って安易に著作物を無断使用した場合に『有料の写真とは知らなかった』『違法とは思わなかった』などの言い訳がおよそ通用しないことを裁判所が認めた」と評価している。
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