「宇宙文明研究」もクラウドで? 月面写真から“人面構造物”を探すプロジェクトが活動報告:SoftLayer Bluemix Summit 2015
宇宙文明を探し出そうとする夢のプロジェクトにもいまやクラウドが使われているようだ。コンピュータ技術者や中学生ハッカーなどが構成する「Marsface Project」がIBMクラウドのイベントに登場し、活動内容やその難しさを語った。
広大な宇宙には知的生命体がいて、月や火星には人工構造物があるはずだ――そんな宇宙文明研究にもいまやクラウドが使われているようだ。月などの天体写真から“人面構造物”を見つけ出そうとする団体・Marsface Projectが9月2日、IBMクラウドサービスのユーザーイベント「SoftLayer Bluemix Summit 2015」(東京・渋谷)に登場し、活動内容やその難しさを語った。
宇宙や天体の表面には、まれに人の顔のように見える岩などが見つかることがある。コンピュータ技術者や現代アーティスト、中学生ハッカーなどで構成するMarsface Projectはこれを“人面構造物”として定義し、網羅的に発見して世間に広く発表することを目指しているという。
だが、広大な宇宙から「人の顔に似ている岩など」をピンポイントで見つけるのは難しい。そこで同団体が利用しているのがクラウドや画像認識技術といった最新テクノロジだ。今年4月に参加した米航空宇宙局(NASA)主催のハッカソン「ISAC2015 Tokyo」では、IBMのクラウドサービス「Bluemix」で提供されている画像識別機能「Bluemix Visual Recognition」を活用し、1万枚近くの月面写真を分析。ゴリラやネコ科の動物に見える複数の人面岩を発見したという。
一般的に、画像認識技術は精度が高いほど評価される。しかしMarsface Projectの嶋田健志さんは、同プロジェクトならではの難しさがあったと話す。「月面の写真を『月』や『岩』と正しく認識してもらっては困る。わざと誤認識をさせ、人間が“人工物らしい”と思える画像を見つける必要があった」(嶋田さん)
そこで同プロジェクトでは、認識対象とする画像の大きさを調整する独自のプログラムなどを用意。「人間からすると『人工物に見えるかも……』と思える“良い温度感”の画像を見つける」ことに成功したという。
嶋田さんは「Bluemixの画像認識機能はすごく簡単に使えて認識精度も高い分、難しいところも多かった」と話す。「次回は写真の事前準備にもう少し時間をかけ、再チャレンジしたい」と意気込んでいた。
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