iOS 9の人気有料広告ブロックアプリ「Crystal」、“ホワイトリスト化”でEyeoから報酬受け取りへ
iOS 9の新機能「コンテンツブロッカー」を使って広告をブロックする有料アプリ「Crystal」の開発者が、Eyeoのホワイトリストを採用することでEyeoから支払いを受ける計画であるとWall Street Journalに語った。
米Appleが新モバイルOS「iOS 9」で追加した広告ブロック機能「コンテンツブロッカー」を利用する人気有料広告ブロックアプリ「Cyrstal」(120円)の開発者、ディーン・マーフィー氏が、“容認できる”広告をブロックしないオプション(初期設定で有効)を追加する計画を米Wall Street Journalに語った。
CrystalはiOS 9のリリースと同じ9月16日に公開され、App Storeの有料アプリランキングでしばらく首位を保った(本稿執筆現在は2位)人気アプリ。インストールすると、Safariで表示するWebサイト上の広告やクッキーによる追跡をブロックできる。
Wall Street Journalによると、同アプリは既に10万回以上ダウンロードされており、マーフィー氏のこのアプリからの収入は約7万5000ドルに上るという。
マーフィー氏が計画しているオプションは、Webブラウザ向け広告ブロック拡張機能「Adblock Plus」を提供する独Eyeoから持ち掛けられたという。Eyeoは“容認できる”広告(Acceptable Ads)をブロック対象から外すためのホワイトリストを持っており、パブリッシャーから申し込まれ、Eyeoも容認できると判断した場合は有償でホワイトリストに追加している(Eyeoの説明ページ)。Wall Street Journalによると、Eyeoは約70社からホワイトリスト化の料金を受け取っているという。Accesptable Adsの定義はこちらにまとめられている。
Eyeoは、マーフィー氏を含む一連の広告ブロックアプリ開発者に対し、各アプリのフィルターでもEyeoのホワイトリストの企業をブロックしないオプションの追加を持ちかけているという。このオプションに対し、Eyeoが一定料金を開発者に支払う。
マーフィー氏はWall Street Journalに対し、オプションの追加は金儲けのためではないと説明した。Crystalにはユーザーが(広告収入で成り立っている)パブリッシャーを支援するための手段がないが、Eyeoのホワイトリストの反映はそれを可能にする良い機能だと判断したという。
広告ブロック機能は、ユーザーにとっては邪魔な広告が表示されず、ページの読み込みも速くなるため便利だが、広告収入で成り立つメディアなどにとっては収入減に直結する問題だ。
Crystalと同時期に米国で広告ブロックアプリ「Peace」を公開したマルコ・アーメント氏は、「広告ブロックアプリは多くの人々に便利さをもたらすが、一方で攻撃されるべきではない人々を傷付けもする」として公開2日後にアプリを取り下げた。
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