Microsoft、ドイツに新データセンター開設へ セーフハーバー問題対策か
Microsoftは来年下半期にドイツ国内に2つのデータセンターを開設し、AzureやOffice 365などの顧客データをこれらのデータセンターに保持する計画を発表した。欧州連合が米連邦政府とのセーフハーバールールの無効化を検討していることの対策とみられる。
米Microsoftは11月11日(現地時間)、独ベルリンにおいて、クラウドサービス提供のためのデータセンターをドイツ国内の2カ所に開設する計画を発表した。来年下半期に稼働を開始する計画。
これらのデータセンターでは、Microsoft Azure、Office 365、Dynamics CRM Onlineなどのサービスを提供し、ユーザーデータを保持する。
同社のサティヤ・ナデラCEOは発表文で「これらの新データセンターは地域の成長を促すだけでなく、顧客にデータの管理・保存方法の選択肢と信頼性を提供するものだ」と語った。
これらのデータセンターのデータは独Deutsche Telecomの子会社であるT-Systemsが管理する。Microsoftは、T-Systemsあるいは顧客の許可がなければ、顧客のデータにアクセスできない。
こうしたシステムにより、顧客は厳格なドイツおよび欧州の規制や企業のコンプライアンスを順守しつつMicrosoftのクラウドサービスを安心して利用できるとしている。
元CIA職員のエドワード・スノーデン氏が米連邦政府による情報収集活動を暴露して以来、欧州連合(EU)は米国とのセーフハーバールールの見直しを検討している。
EUが米国とのセーフハーバールールを無効だとした場合、MicrosoftやGoogle、Amazon.comなどの米企業(を含むEU圏外の企業)は欧州の顧客情報を欧州圏外に移転できなくなる。
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