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光でセシウムを細胞からくみ出すたんぱく質 名工大・東大が共同開発 新しい除染法に道
光のエネルギーを使い、セシウムイオンを細胞から運び出す技術を、名古屋工業大学と東京大学が共同で開発した。
名古屋工業大学と東京大学の研究チームは12月14日、光のエネルギーを使ってセシウムイオンを細胞からくみ出すたんぱく質を世界で初めて作成したと発表した。放射性セシウムの新しい除染方法につながるとしている。
生物の細胞膜にある「ポンプ」と呼ばれるたんぱく質の穴から、光のエネルギーを利用してセシウムイオンを外に運び出す仕組み。従来の研究では、水素イオンよりも重い荷電粒子を決まった方向に光で輸送することは不可能とされていた。
しかし名古屋工業大学が2013年、海洋性バクテリアからナトリウムイオンをくみ出すたんぱく質を発見し、東京大学と共同で構造を解析。アミノ酸を変異させ、通り道を広くしたことで、ナトリウムイオンより重いセシウムイオンを運ぶポンプを設計した。
11年の東京電力・福島第1原子力発電所の事故以来、水中に含まれる放射性のセシウムイオンが問題になっており、セシウムを吸着する従来の除去方法に対し、光というクリーンなエネルギーを利用して「全く発想の異なった回収法につながる可能性がある」として実用化に向け輸送効率や制御の向上を目指す。
成果は米化学誌「The Journal of Physical Chemistry Letters」(電子版)に14日付で掲載された。
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