あなたがいい文章を書きたいのなら、キーボードはゆっくりタイピングして入力するのがおすすめ──こんな研究結果をカナダの大学の研究者が発表した。
研究によると、被験者に対し「学校生活の思い出」など複数のテーマを用意し、エッセイを書くよう依頼した。その際、両手による入力か、片手だけによる入力か、どちらかの方法でそれぞれ書いてもらった。
出来上がったエッセイを、テキスト分析ソフトを使って語彙の洗練度などについて分析した。その結果、片手だけで入力した作品のほうが良い結果だったという。
研究結果を発表したウォータールー大学の研究者は、片手だけで入力した場合、書き手は内心で語彙を探すことに時間をかけることができ、結果的に言葉のバラエティが増したのだろうと考えている。一方、高速にタイピングすると、心に浮かんだ最初の言葉を打ち込んでしまう──ということのようだ。
ペンと紙など、キーボード以外のツールでも同じことが言える可能性があるが、それには検証が必要だとしている。研究者は「書くということは、表現のために使うツールとわれわれの思考との間の相互作用による産物なのだろう」とコメントしている。
成果は心理学の専門誌「British Journal of Psychology」に掲載された。
関連記事
- ゼロから小説のあらすじ作れるソフト、芝浦工大が開発 何から書けばいいのか分からない初心者でも容易に
小説を書きたいけど書けない人に朗報か。初心者でゼロからも容易にあらすじを作れるという創作支援ソフトを芝浦工業大学が開発した。 - ネット検索は「自分は賢い」と錯覚させる 米研究
ネット検索は、ネット上の知識と自分の知識を混同させてしまうことで、実際以上に自分が賢いと錯覚させてしまう可能性があるという。 - Appleロゴ、正しく描ける? 心理学者がテスト 85人中、正解はたった1人
Appleロゴを記憶だけで描いてください──米国の心理学者が大学生にテストをしたところ、正確に描けたのは85人中たった1人だったという。 - 「完全な『パクリ』レポート」を作成せよ──大阪市大の課題、その狙い 常識や先入観を逆手に
「完全な『パクリ』レポートとして作成せよ」――ネットや書籍から引用した文章だけでレポートを作成する大学の講義課題が話題を集めている。出題者である大阪市大の増田聡准教授に意図を聞いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.