Google、西陣織や九谷焼など工芸品の写真をネット公開 「Made in Japan: 日本の匠」プロジェクト始動
Googleが、日本の工芸品82種の写真をネットで無料公開する「Made in Japan: 日本の匠」をスタート。
Googleは1月26日、美術作品をネットで公開する「Google Cultural Institute」で、日本の工芸品を展示する「Made in Japan: 日本の匠」プロジェクトを始めた。西陣織や京薩摩、九谷焼など27都府県の工芸品82種類を無料で閲覧できる。情報は日本語と英語で掲載し、日本の美を海外にも紹介する。
立命館大学アート・リサーチセンター、青森県庁など6施設と連携。工芸作品の高画質の写真を閲覧できるほか、テキストや動画などを使って作品の歴史や制作過程も紹介。サイト内の日本地図から選んで見ることができる。
日本刀や盆栽も 日本人が知らない“隠れた名産品”を展示
Google Cultural Instituteでは、世界各地の美術館や博物館など1000カ所超と協力し、20万点以上の美術作品、600万点以上の歴史的資料や文献などを公開。日本でも2012年に連携が始まり、東京国立博物館や手塚治虫記念館など63施設が参加している。
同サービスの統括責任者を務めるアミット・スード氏は、「小さな趣味のようなプロジェクト」と意図を説明。非営利でアートの写真を掲載するだけでなく、制作過程や歴史など、作品の背景にあるストーリーを紹介し、日本の伝統工芸に関心のある海外のユーザーにアピールしたい考えだ。
展示作品の選定に携わった京都女子大学の前崎信也准教授は「とにかく美しい写真を集めた」という。前崎准教授によれば、「京薩摩」などは海外に熱狂的なファンがいるにもかかわらず、精細な写真がないばかりか、制作過程の写真や英語文献も少なかったという。
昨年夏に企画の準備をスタートし、全国100カ所以上の美術館・資料館に連携をオファー。プロのカメラマンによる無償提供のほか、新たに300枚以上を撮りおろし、計900枚以上の高画質な写真を用意した。
英語の解説文もプロの翻訳家に依頼した上で、京都国立博物館の担当者が専門用語などをチェックし、「展覧会で使われるクオリティ」(前崎准教授)にまで高めた。
前崎准教授は、ゲーム「刀剣乱舞−ONLINE−」などの影響で「日本刀を目当てに資料館を訪れる女性や外国人観光客が急増している」とする一方、「伝統的で“アナログ”な制作過程を広く知ってもらいたい」との思いを話す。「日本は最先端のテクノロジーを誇るだけでなく、職人の手作業に頼るところも大きい。そうした意味で、技術が詰まった日本刀を一緒に紹介できたのはうれしい」(前崎准教授)。
Googleの山崎志信ストラテジックパートナーマネージャーは「日本人の私たちでも知らないような、隠れた名産品も紹介しているので、目を向けてもらえれば」と話し、さらに展示数を拡大する予定だ。
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