世界最強の囲碁ソフト目指せ――ドワンゴ「DeepZenGoプロジェクト」始動 Google「AlphaGo」打倒も
ドワンゴが、世界最強の囲碁ソフトを開発する「DeepZenGoプロジェクト」を始動。米Google「AlphaGo」の打倒を目指す。
ドワンゴは3月1日、世界トップレベルのコンピュータ囲碁ソフトを開発する「DeepZenGoプロジェクト」を発表した。日本棋院が協力し、日本最強ソフトの1つ「Zen」をベースに、将棋ソフトの開発者や人工知能(AI)研究者らが集結。米Googleが開発した囲碁用のAI「AlphaGo」を上回る性能を目指す。
「Zen」開発チームのチーフプログラマー・尾島陽児さんを中心に、将棋ソフト「PONANZA」を開発した山本一成さん、AIを専門に研究する東京大学の松尾豊准教授もプロジェクトチームに参加し、半年から1年後の完成を予定する。ドワンゴがハードウェアや開発スペースといった開発環境を提供し、日本棋院はプロ棋士と対戦する場を設けるなどのサポートを行う。
同社の川上量生会長は、プロ棋士に5戦5勝で圧勝したGoogleの「AlphaGo」をライバル視。完成後は、プロ棋士との対戦に加え、AlphaGoにも挑戦したい考えだ。「将棋に限らず、囲碁の『電王戦』を本格化させようとした矢先、AlphaGoの活躍に衝撃を受けた。電王戦のシナリオが変わってしまった」(川上会長)。
AlphaGoは3月に、国際棋戦で10勝以上している韓国のプロ棋士・李世ドル(Lee Sedol)さんとの対戦も予定しており、川上会長は「この勢いのままAlphaGoが勝ってしまうと、世間に“囲碁は終わった”との印象を与えかねない」と危機感をあらわにする。「現時点で日本最強の『Zen』に総力を結集し、AlphaGoだけではないことを世に示したい」(川上会長)。
「Zen」開発チームの加藤英樹代表は、AlphaGoとのレーティングの差は500程度で、勝率は約3〜4%程度と話す。ディープラーニングの手法を用いて「Zen」が不得意な序盤での立ち回りを改善するなどし、勝機を見出すという。また、CPU4個とグラフィックスカード8枚を搭載するAlphaGoに対し、Zenはデュアルソケット、グラフィックスカード4枚とマシンパワーで劣ることも挙げ、ドワンゴの協力のもと、ハード面の見直しを進める。
「PONANZA」開発者の山本さんは、「将棋とルールは近しいが、囲碁の局面の把握は『絵画の評価』に近い」と説明。画像認識と相性がよいディープラーニング技術の活用に期待を寄せる。
「AlphaGoには2つの意味で勝ちたい。まずは囲碁ソフトとして勝つ。もう1つは、単にAIの優位を世に問うのではなく、優れたAIと対峙(たいじ)した人間がどのように素晴らしくふるまうか、を示すものにしたい」(川上会長)
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