「AlphaGo」に三連敗の李世ドル氏「残り2局も見届けてほしい」
GoogleのAI棋士「AlphaGo」と韓国のプロ棋士、李世ドル氏の5番勝負はAlphaGoの3連勝で決まった。李氏は対局後の会見で「これまでにないプレッシャーに負けてしまった」と謝罪し「どうか、4局目と5局目も何が起こるか見届けてほしい」と笑顔で語った。
米Googleの人工知能(AI)部門DeepMindが開発する「AlphaGo」(アルファ碁)と韓国のプロ棋士・李世ドル(Lee Sedol)氏の5番勝負は3局目もAlphaGoが勝ち、AIの勝ち越しが決定した。
対局後の記者会見で李氏は「何と言えばいいか分からないが、まずは謝罪したい。多くの人々の期待に応えられず、申し訳ない」と謝罪し、3局目について「これまで多くの対戦経験を積んできたが、今回ほどのプレッシャーを感じたことはなかった。そのプレッシャーに打ち克つことができなかった」と語った。
「3局目に私が負けたので、勝者は決まった。だが、人間については心理的側面を考慮する必要がある。どうか、4局目と5局目も興味を持って何が起こるかを見届けてほしい」(李氏)。
この会見にはGoogle創業者でAlphabetの社長を務めるサーゲイ・ブリン氏も参加し、「囲碁は非常に美しいゲームで、人生について多くのことを教えてくれる。本当に優れた棋士の対戦は美しい。われわれがこの美をコンピュータに教え込むことができてとても興奮している。そして、素晴らしい棋士である李氏と、優秀なDeepMindのチームとともにこの場にいられて光栄だ」と語った。
DeepMind創業者で天才チェスプレーヤーとしても知られるデミス・ハサビス氏は「正直なところ、驚いて言葉もない。AlphaGoは1秒に数万手を考えられるが、李氏がAlphaGoを限界にまで追い詰められるのは素晴らしい。われわれがここに来たのはAlphaGoの可能性をみるために李氏に挑戦するのが目的だった。同氏の稀有な才能と創造的能力のおかげで目的が達成できた」と語った。
残りの対局は13日午後1時からと15日の午後1時から行われる。ライブストリーミングはYouTubeのほか、囲碁プレミアムでは日本語解説付きで、ニコニコ生放送では実況番組を放送する。いずれも視聴は無料。
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