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廃液からの金回収を効率よく 筑波大、藻を活用したリサイクル技術開発

王水ベースの金属廃液から、金やパラジウムを吸着する藻を見出し、貴金属のリサイクルに生かそうとする研究成果を筑波大学が発表した。

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 王水などを含む強酸性の金属廃液から、金やパラジウムを効率的に回収する吸着力を持つ藻が存在する――そんな研究成果を筑波大学の研究チームが3月23日に発表した。低コストで、環境への負荷が小さいリサイクル方法の開発につながる可能性がある。

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強酸性条件(塩酸溶液)で、80〜90%以上の効率で金とパラジウムを吸着

 金やパラジウムなどの希少な貴金属は、装飾品としてだけでなく先端産業でも高い需要があり、リサイクルは重要な課題だ。貴金属の濃度が低い強酸の廃液から効率よく回収することは難しく、化学薬品などを使用するため、環境への負荷も懸念されていた。

 研究チームは、硫酸性温泉に生息する紅藻「ガルディエリア・スルフラリア」の細胞表層に着目。王水ベースの金属廃液から、低濃度で含まれる金やパラジウムを90%以上の効率で吸着できた。化学薬品を使用した通常のプロセスは2〜3日かかるのに対し、紅藻を使った作業は30分以内に終えられるという。

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王水ベースの金属廃液から金とパラジウムを回収。鉄や銅などが混ざっていても、選択的に取り出せたという。

 研究チームは、低濃度の金とパラジウムを低コストで環境に優しく回収・リサイクルする技術の開発と実用化が期待できるとしている。成果は、学術誌「Bioresource Technology」の電子版に公開される予定だ。

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