科学雑誌Discoverのブログが3月15日付で伝えるところによると、チリ大学の研究チームがニワトリの受精卵に遺伝子操作を加え、恐竜の脚を持つ胚を作り出したという。
陸上脊椎動物の膝から下は、2本の骨で構成されている。そのうちの1本である腓骨(ひこつ)は、鳥類では途中で成長を止め、膝の側にくっついたまま宙ぶらりんになっている。空を飛ぶことに特化した鳥類では、体重を支えるための丈夫な腓骨は必要なくなったからだ。
研究チームがニワトリの受精卵に対して、すべての動物に共通するIndian Hedgehog Homolog(IHH)という遺伝子を操作して、脚の成熟を阻害したところ、途中で成長を止めるはずの腓骨は逆に発達して、足首の関節にくっついたという。つまり、恐竜が持っていた脚の形に先祖返りした。ただ残念ながら、今回の実験に使われた胚は孵化しなかった。
鳥類はそもそも、獣脚類の肉食恐竜にそっくりだ。ローストチキン用に羽毛をむしった丸鶏を買ってきて、脚を伸ばしてみれば、ティラノザウルスのミニチュア復元モデルかと思ってしまう。細かく見れば前述の腓骨や、特に胸骨の形が違うのだが、そうした違いを遺伝子操作で「修正」していけば、羽毛恐竜が再現されるかもしれない。
関連記事
- 福井県で新種の恐竜 学名は「フクイべナートル・パラドクサス」
福井県立恐竜博物館が2007年に発見した化石が新種の恐竜のものと判明。学名は「フクイべナートル・パラドクサス」と決まった。 - 「ブロントサウルス」が帰ってきた 独立した種類の恐竜だったと結論する新研究
「ブロントサウルス」は、これまで同じものだと考えられてきた「アパトサウルス」とは異なる、独立した別の種類の恐竜だったという新研究。姿を消して久しい人気恐竜が再び表舞台に戻ってくるかも? - 拡張現実で恐竜がよみがえる!? 科博でジュラシックパーク気分
目の前で動き回る恐竜をいろんな角度から観察――「ジュラシックパーク」の世界に入ったような体験ができるイベントが、国立科学博物館で始まった。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.