日本でeスポーツが流行らないのは“おじさんゲーマー不足”? 協会理事に聞く(3/3 ページ)
ビデオゲームなどの腕を競い合う「eスポーツ」。海外で盛り上がりを見せる一方、日本ではいまいち――日本eスポーツ協会の馬場章理事に理由を尋ねた。
最も必要なのは「資金を出し合うこと」
日本のeスポーツ活性化にいま最も必要なことは何か。馬場教授は「一言でいえば、資金を出し合うこと」と強調する。大会の運営やトッププレイヤーの育成には資金が欠かせないが、「スポンサーになり得るゲーム企業さえ、eスポーツをあまり理解していない」のが現状という。
海外の競技大会は、数千万人のファンやプレイヤーがネットで視聴し、スポンサーにとっての広告効果も大きい。馬場教授は「日本の現状からすると、スポンサー企業にとってビジネスメリットが見えにくい」としつつ、「メーカー各社の協力で国内の大会数を増やし、プレイヤー人口を増やすことがeスポーツの地位向上につながる」と話す。
こうした動きを加速させるべく、昨年には馬場教授を理事として日本eスポーツ協会(JeSPA)を設立。これまで各地域で細々と行われていた大会を統合し、「日本選手権」と銘打った大規模な大会を開催するほか、海外大会への選手の派遣にも注力していく。
「ゲームは人生を豊かにするもの」
「ゲームは人生を豊かにするもの」――馬場教授がeスポーツの普及に力を入れる背景には、青春時代から抱いているゲームへの思いがある。
馬場教授が大学生だった80年代、日本では「スペースインベーダー」が流行。テーブル型のゲーム筐体を設置した喫茶店「インベーダー喫茶」も多数登場した。「青春時代は何かと深刻な悩みを抱えがち。喫茶店で友達に相談する時、そのテーブルの中には『スペースインベーダー』があった。100円玉を入れてプレイしながら友達と話をし、徐々に心を打ち開けていった。ゲームに救われた体験だった」。
馬場教授は「ゲームは人間の心に最後に入り込んで、豊かにするもの」と表現する。「子どもを育てる意味でも、eスポーツが持つ可能性は大きい。その裾野を広げていくことが自分たちの使命だと感じている」(馬場教授)。
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