AppleのOS XおよびiOS向けアプリケーションの開発言語はNeXT時代から続くObjective-Cから2014年に発表された新言語Swiftに移行しつつあるが、AppleがSwiftをオープンソース化したことにより、IBMがクラウドサービスで利用可能にするなど多方面から注目を浴びている。そこで意外な賛同者が現れたと米テクノロジーメディアのThe Next Webが伝えている。
Swiftのオープンソース化が発表された2015年12月頃、Google、Facebook、Uberの3社がロンドンでSwiftに関する会談を実施。FacebookとUberはSwiftを開発の中心に据え、Androidの開発言語としてはJavaを採用しているGoogleも、Swiftを「ファーストクラス」の開発言語として扱うことを検討しているとThe Next Webは情報筋の話として報じた。
GoogleはAndroidの開発言語としてJavaを採用しているが、GoogleがAndroidとともに提供しているDalvik仮想マシン(VM)がOracleが持つJavaの特許を侵害していると訴訟対象となり、Googleは控訴審でOracleに敗れた。GoogleはAndroid 5.0(Lollipop)以降、DalvikからART(Android Runtime)に置き換えた。
GoogleがOracleに裁判で敗れて1カ月もしない2014年6月、SwiftがWWDCで電撃的に公開。2015年12月にはWWDCでもないのにSwift 2.0とそのオープンソース化が発表された。
一方、Microsoftはスティーブ・バルマー時代と打って変わってオープンソースを強力に推進しており、2015年4月に発表し、1カ月後にオープンソース公開したWindows Bridge for iOSはObjective-Cを使ってWindowsアプリの開発ができるようにした。この時点ではSwiftはまだオープンソース化されていなかったためかObjective-Cのみサポートされていたが、ユーザーからの要望が多いSwiftサポートも当然予測できる。
GoogleがJavaを捨て去ることは考えにくいが、人気の高いSwiftの採用は、特にサードパーティアプリメーカーの負担を少しでも軽減するという意味で意味があることかもしれない。
Swiftは現在、OS XとUbuntu Linux向けバイナリが提供されているが、Swiftの公式ページであるSwift.orgでは「Swiftをさらに多くのコンピューティングプラットフォームに提供できるようお手伝いいただきたい」と述べている。
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