搭乗型巨大ロボの本格バトル、始動
巨大な二足歩行メカに乗り込んで、ライバルメカと対戦する、少年のロマンが実現する。さらに国際リーグ戦まで構想している海外メーカーがある。
自分で考えて動く可愛いロボットもいいが、巨大な人間型メカは、人の心を加えたときにはじめて本物になる。もちろんそこには、戦うべき相手が必要だ。少年たちの夢が、いよいよ現実のものとなりそうだ。
人間搭乗型巨大ロボは、すでに実現し、興隆期を迎えている。2014年に設立された水道橋重工のKURATASに、米国カリフォルニア州のMegabotsが挑戦状を叩きつけたのは、昨年7月のことだった。この挑戦状に、水道橋重工は「受けて立つ」として、戦闘用モデルの開発に取り組んでいる。
そのMegabotsがこの5月、240万ドルの資金調達を行ったと米メディアTechCrunchが報じている。この投資は、Megabotsの量産化だけではなく、巨大ロボバトルの国際リーグ戦を開催することを目的としている。
同社は法律事務所と契約して対戦ルールやレギュレーションを調整し、自動車レースのフォーミュラ1やサッカーのワールドカップに匹敵する大会の開催を目指しており、これは大きなビジネスチャンスだとしている。法律事務所のパートナーであるクリストファー・D・ブライトン弁護士は、国際オリンピック委員会(IOC)をはじめ、NBA(バスケット)、MLB(野球)、NFL(アイスホッケー)など、多くのプロスポーツのリーグ化に携わってきた。
KURATASやMegabotsは言うまでもなく、日本のマンガやアニメに影響を受けて生み出されたものだ。しかしその印象は、乗り込み型巨大ロボの元祖である『マジンガーZ』の主役ロボや人気のある『機動戦士ガンダム』のモビルスーツにはあまり似ていない。全高18メートル前後と設定され、人間型を意識したこれらのメカより、『装甲騎兵ボトムズ』のアーマードトルーパーや『機動警察パトレイバー』の作業用レイバーなど、全高4〜5メートルで目的に合わせたフォルムを持つメカを連想させる。しかし、リアルな巨大ロボバトルとして、こうしたものを期待していた人も多いのではないか。このサイズでも、また写真だけからでも、その重量感は凄い。
いまのところ、巨大ロボバトル国際リーグのネックになると考えられているのは、その重量だ。現在4〜5トン、戦闘用にチューンアップすれば最大8トンという巨体を、海を越えて運ぶ負担は大きい。
もうひとつのネックは、KURATASやMegabotsのような内燃機関と油圧制御を備えた重量級巨大ロボの開発ノウハウを持つ企業が、少ないことだ。現在存在する多くのロボットはバッテリ駆動とモーター制御で、この技術では数トンの戦闘用メカを動かすことは難しい。フォーミュラ1のように多くのメーカーが参加しなければ、リーグ戦の開催は難しくなる。
しかしそれでも、自動車レースと格闘技、そして巨大ロボアニメの面白さを詰め込んだこの競技には、大きな可能性があるだろう。
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