ニュース
「宇宙ごみ」を大気レーダーで観測、サイズや軌道を推定 京大が成功
地球の大気を観測するMUレーダーを使い、宇宙ごみのサイズなどを捉えることに成功したと京都大学の研究グループが発表した。
京都大学は6月6日、通常は地球の大気を観測するMUレーダーを使い、使用済みのロケットや人工衛星の破片などの「宇宙ごみ」のサイズを捉えることに成功したと発表した。宇宙ごみの分布モデルの構築や、除去方法の研究に役立てるという。
現在、地球の周囲には、10センチ以上の宇宙ごみが2万個以上存在するという。数センチ程度の大きさでも、秒速8キロほどの速さで飛んでいるため、運用中の宇宙ステーションや人工衛星に激突して被害を引き起こす可能性がある。近年は、宇宙ごみ同士が衝突すると、より小さな宇宙ごみが発生し、全体のごみの数が劇的に増えていく――という「ケスラーシンドローム」も懸念されている。
京都大学生存圏研究所の大気観測用のMUレーダー(周波数46.5MHz、波長6.45メートル)を使用し、高度数百キロを飛び交う宇宙ごみを捉えた。レーダーと同程度の波長のごみのサイズ、回転の向き、形などを推定できたという。
同大学のレーダー以外にも既存の観測装置に技術を応用することで、宇宙ごみを観測する能力の向上につなげる考えだ。今後、状態や軌道の推定精度を向上し、10センチ以下の微細なごみの分布モデルの構築、除去方法の研究にも役立てるとしている。
成果は「日本航空宇宙学会論文集」6月号に掲載された。
関連記事
- スペースデブリ、高精度レーザー照射で除去 理研など新手法
スペースデブリに軌道上からレーザーを照射することで除去する新手法を理研などの研究チームが提案。専用衛星を打ち上げて取り組めば、小さなデブリの大部分を5年で掃除できるという。 - 未確認物体、11月に地球に落下 スペースデブリ?
未確認物体が11月13日に地球の大気圏に突入することが分かった。スペースデブリとみられ、燃え尽きる可能性が高いという。 - SF的“プラズマシールド”が現実に? Boeingが特許取得
“プラズマシールド”で軍用車などを守る技術の特許をBoeingが取得し、「フォースフィールドだ」と話題になっている。 - “ステルス人間”が実現する? レーダー波を抑える「メタスキン」、米大学が開発
レーダーから見えにくくなるという「メタスキン」を米大学が開発。研究を進めれば、可視光でも見えなくすることが可能化もしれないという。 - 離れたところから心拍を測定 ミリ波レーダー活用 京大とパナソニックが開発
ミリ波レーダーとアルゴリズムを組み合わせ、離れたところから心拍数や心拍間隔を測る技術を、京都大学とパナソニックが共同開発した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.