LINEの上場が決まり、ベールに包まれていた企業の実態が明らかになってきた。同社が関東財務局に提出した有価証券報告書から、LINE社員給与や役員の報酬、事業の状態などが読み取れる。
平均給与は795万円
LINE単体の従業員数は1122人、平均年齢は34.2歳、平均勤続年数は2.9年だ。
平均年間給与は795万円。国内の同業他社を見てみると、ディー・エヌ・エー(DeNA)が751万円(15年3月末)、グリーが747万円(15年6月末)、ヤフーが651万円(15年3月末)となっており、LINEの給与水準は高めだ。
報酬の総額が1億円以上の役員は3人。最高額は社長……ではなく、グローバル担当取締役とLINE Plus取締役を兼任している慎(シン)ジュンホ氏で、基本報酬が約1億6600万円、賞与が約1600万円、ストックオプションが約51億2600万円で、合計約52億5000万円を受け取っている。
出澤剛社長は基本報酬が約4000万円、賞与が約910万円、ストックオプションが約8400万円で、計約1億3300万円、舛田淳取締役は基本報酬が約2250万円、賞与が約1000万円、ストックオプションが約6950万円で、計約1億200万円となっている。
LINEビジネス、稼ぎ頭は
同社の主な収益源は、LINEのスタンプや、「LINE GAME」の課金売り上げ、広告売り上げだ。LINE以外では、「NAVERまとめ」や「livedoorブログ」の広告も収益源になっている。
稼ぎ頭はLINE GAMEのゲームアイテムだ。15年12月期のLINEビジネス・ポータル事業(LINE、NAVERまとめ、livedoorブログ含む)の連結売上高約1204億円のうち、約40%(約492億円)がLINE GAMEのアイテム課金によるものだ。
次に大きいのはLINEスタンプの課金売り上げで、約23%(約287億円)を占める。LINE公式アカウントとスポンサードスタンプからの広告売り上げも約21%(約264億円)と2割を占めており、livedoor/NAVERまとめの広告は売り上げは全体の約8%(約99億円)にとどまっている。
日本からの売り上げが7割
LINEの今年3月末時点の月刊アクティブユーザー数(MAU)は2億1800万人。日本が6000万人、タイ・台湾・インドネシアの3カ国合計で9100万人を占めており、この4カ国以外の国では減少しているという。
15年12月期の日本の売上高比率は70.3%にのぼる。日本は課金ユーザーの割合が高いためといい、日本偏重のビジネスから抜け出せていないのが現状だ。
中国では14年7月1日以降LINEの通信に障害が起きており、「完全に回復されるめどはたっていない」という。
韓国NAVERが株の9割を保有
株主の状況を見ると、筆頭株主は親会社の韓国NAVER Corporationで、87.27%を保有している。2位はシン・ジュンホ氏(5.12%)で、以下5位まで韓国系とみられる名前が続く。
出澤社長は6位(0.05%)、舛田取締役は7位(0.05%)となっており、8位〜13位も韓国系だ。14位に上級執行役員の池邉智洋氏、15位に元社長の森川亮氏(0.03%)が名を連ねている。
役員11人は全員が男性で、うち4人が韓国系。執行役員は17人のうち7人が韓国系だ。
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