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“本物の歌舞伎”とネットの化学反応 老舗・松竹が本気で挑んだ「超歌舞伎」ができるまで(6/6 ページ)
松竹とドワンゴがタッグを組み、「ニコニコ超会議」で上演した「超歌舞伎」。中村獅童さんと初音ミクを主演に迎え、最新技術を駆使した新作歌舞伎の製作は試行錯誤の連続だった。創業120周年の老舗・松竹が挑んだ「超歌舞伎」の裏側を聞いた。
――ネットの反応で印象的だったものはありましたか。
野間さん ……「松竹にしてはいい企画じゃん」ですね(笑)。いえ、冗談ではなく本当に最大級の褒め言葉ですよ!
松竹が関わる以上「“本物の歌舞伎”でなくてはいけない」という思いは当初からありましたし、変なものはお見せできないというプライド、プレッシャーも大きかったです。新しいものを取り入れつつ古典や伝統へのリスペクトをしっかり示したからこそ、このような言葉をいただけたんだ、と思います。
松岡さん 演出の藤間勘十郎さんも、モーション収録の際に「こんなに“ド真ん中に古典”で大丈夫なのか?」と悩んでいたくらい、今回の演目は演出や演技、脚本構成もほぼ古典歌舞伎の手法そのままなんです。始まる前までは不安でしたが、真正面からストレートに僕らの歌舞伎を投げたら受け止めてもらえた。このやり方で歌舞伎の魅力がちゃんと伝わったこと、「格好いい」「すごい」と感じてもらえたことは、ものづくりに関わる人間として幸せでしたし、自信になりました。
――ファンからは早くも「超歌舞伎、また観たい」という声も出ていますが、今後の可能性などは。
野間さん そうですね、今の時点では何か決まっているわけではないですが、今後もさまざまな方向性で考えていければ……。映像パッケージ化のご要望に対しても、何らかの形で前向きに取り組んでいきたいです。
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