なぜ、外国によくある「超巨大看板」は日本で見かけないのか:あなたの知らないプリンタの世界(3/3 ページ)
海外を歩いていると、高さ数十メートルにもおよぶ巨大看板に目を奪われる機会も少なくないはず。そうしたスケールの大きい印刷物を日本であまり見かけない理由とは?
有名建築家のアントニ・ガウディによって1910年に建てられた「カサ・ミラ」は、世界遺産になっています。その内部は博物館となっていますが、入居者も今でもいます。その歴史的な建物の向かい側に、気になる「巨大印刷物」がありました。
巨大印刷物の正体は「建築現場の養生シート」。養生シートは落下物やホコリなどから周囲の通行人、建物、車を守るほか、騒音防止にもなるなど、建築現場でとても重要な役割を持っているのですが、この写真にある養生シートは見た目が一味違っていることが分かるでしょうか。
この建物は恐らく修繕工事中だったのでしょう。無地の養生シートでは見た目が味気なくなってしまうところを、中に建っている実際の建物のビジュアルが印刷してありました。
巨大な印刷技術は、広告を「目立たせる」だけでなく、建築現場の周りの安全や街の景観を「守る」という役割も担っているようです。
著者:霄洋明(おおぞら・ひろあき/Hiroaki Ozora)
日本HP大型プリンターエバンジェリスト。ワイドフォーマット事業本部に所属し、大型のインクジェットプリンターのソリューションアーキテクトを担当。
東京都中野区出身。学生時代は総合格闘技と彫刻(木彫・塑造)に熱中。大型インクジェットプリンタ黎明期ともいえる1996年頃にアルバイト入社した画材店で大型プリンタと出合う。
その後、広告代理店で、屋外/交通広告・商業施設装飾・サイン計画などに関わり、企画ディレクション・制作施工管理を経験。2010年より 日本HPに入社。デジタル印刷を活用したサイン・ディスプレイとインテリアデコレーションの企画・制作・施工の知見を生かし、HP Latex・UVプリンタ(業務用大型プリンタ)の市場・用途開発を担当。現在は、デジタル印刷技術によってサイン・ディスプレイ業界、インテリア業界、印刷業界をつなげるハブとなってお客様の事業領域拡大を支援することがテーマ。
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