広告ブロックのAdBlock Plus、広告プラットフォームを立ち上げ
Webサイト上の広告を非表示にするWebブラウザ向け拡張機能やモバイルアプリ「AdBlock Plus」を提供する独EyeOが、“許容できる広告”のみを扱う広告プラットフォーム「Acceptable Ads Platform」のβ版を立ち上げた。
広告ブロックサービス「AdBlock Plus」を提供する独EyeOは9月13日(現地時間)、同サービス利用ユーザーに“Acceptable Ads”(許容できる広告)を表示する広告プラットフォーム「Acceptable Ads Platform」(以下、AAP)のβ版を立ち上げたと発表した。
AdBlock Plusでは2011年から悪質ではないと評価した広告をAcceptable Adsとしてホワイトリスト化し、ブロックしないサービスを提供してきた。同社は広告プラットフォームを手掛けるイスラエルComboTagとの協力によってこのホワイトリスト化のプロセスを大幅に自動化し、ホワイトリスト化した広告のリアルタイム入札サービスとしてAAPを立ち上げた。
AAPでは、AdBlock PlusユーザーがWebサイトを表示すると、そのWebサイトが一般の広告ネットワークを通じて表示している広告の代わりにAcceptable Adsが表示される。これにより、ユーザーは引き続き不快な広告を見ずに済み、WebパブリッシャーはAAPを通じて広告収入を得ることができるとしている。
FAQページによると、Adblock Plusのユーザーが見る広告の量が増えるわけではなく、従来通り完全に広告非表示にも設定できるという。
AdBlock Plusが広告を販売するわけではなく、AAPはホワイトリスト化された広告のみが登録されている広告ネットワークだと同社は説明する。
AAPは広告業者と広告ブロックユーザーの間の妥協地点を提供するものという。「皮肉なことに、AdBlock Plusはホワイトリスト化プログラムに料金を課すことで批判されることがよくある。だが、大企業でもない存在が改革を起こそうとしたら、すべての人々を喜ばせるのは難しいのだ」。
米The Vergeによると、AAPの広告収入の80%がパブリッシャーに、残り20%はEyeOを含むAAPの関連企業が分配し、EyeOの取り分は6%という。
同社はComboTagを通じて米GoogleのAdXやAppNexusなど大手の広告プラットフォームの広告を扱うとしているが、両社は米AdAgeに対し、広告の提供はしないと語った。
関連記事
- Facebookの広告ブロックツール無効化にAdBlock Plusが早くも回避策「いたちごっこは続く」
Facebookが広告ブロックツール利用ユーザーへの広告の強制表示を発表した2日後、オープンソースの「AdBlock Plus」の提供企業がフィルターリストを更新し、ニュースフィードでの広告ブロックを再度可能にしたと発表した。 - Facebook、広告ブロックソフト利用者にも広告強制表示 公式の「広告設定」機能強化と引き換えに
Facebookは、広告をブロックソフトを使っているユーザーのFacebook画面にも、広告を強制表示する代わりに「広告設定」を強化し、希望しない広告の非表示設定を簡単にできるようにする。 - Google、広告ブロックアプリ「Adblock Fast」をGoogle Playから削除
AndroidアプリストアGoogle Playで2月1日に公開された、Samsung製ブラウザ専用広告ブロック拡張機能「Adblock Fast」を、Googleが開発者規約に違反するとして削除した。 - Google幹部、iOS 9の広告ブロック機能は「お湯と一緒に赤ん坊を流してしまう機能」
AppleがiOS 9に追加した広告ブロックを可能にする新機能「コンテンツブロッカー」について、Googleの広告/コマース担当上級副社長が初めて公の場で語った。広告ブロックは不要なものを排除するだけでなく重要なもの(コンテンツプロバイダーの収入)をも犠牲にする機能であり、容認できる広告プログラムの構築が必要だと主張した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.