アメリカ海軍の航空母艦「ミッドウェイ」はどのように情報をやりとりしていたのか 電信制御室を見てきた
10月31日〜11月4日に開催されるAdobe MAXに参加するため、筆者はサンディエゴに上陸。すると近くに空母博物館が。Adobe MAX会期前、時間があったので行ってきた。
「ミッドウェイ(が現役で運用されていた)の時代や私が空母の中心部で勤務していた当時は、テレタイプ(端末)が用いられていた。とてもうるさくて、それはもう山ほどの紙テープが必要だった。現在は、例えばロナルド・レーガンに乗船すると、秘密情報用ネットワークなど最新技術が採用されている。だから今では無線通信室はかなり静か。1980年代後半から90年代の初めと比べても、今の無線室は全くの別物」――元米海軍無線電信部門器官デーブ・モルデンさんは、無線電信室の大きな変化についてこんなメッセージを残している。
10月31日〜11月4日に開催されるアドビシステムズ主催のイベント「Adobe MAX」に参加するため米カリフォルニア州サンディエゴに上陸した筆者は、空母博物館「USS Midway Aircraft Carrier」を訪れた。ミッドウェイ(Midway)といえば、ベトナム戦争や湾岸戦争に参加した空母。この船の中で、どのような情報のやりとりが行われていたのか。戦術機司令室や無線電信室、電信制御室を見てきた。
ミッドウェイの無線電信室では、毎日何千ものメッセージを扱っていたという。受信したメッセージを仕分け、整理し、保管し、船内の適切な部署に届けるというのが、この部屋のミッションだ。
緊急メッセージは、圧縮空気管を通して届けられ、その圧縮空気管を通るメッセージは時に「ひゅー」と進む音を鳴らしたそうだ。
電信制御室は、外部との通信が途切れないようにする場所として機能していた。1991年1月に米軍がイラクへの侵略を開始する命令(「砂漠の嵐作戦」)は、この部屋で受信されたという。
部屋は何十台もの受信機で埋まっており、これらの機器を使ってメッセージを受信。それを特定の周波数で船内各所につなぎ、そのメッセージを届けていたという。館内の送信周波数は1日に何度も変わることがあるため、そのたびにつなぎなおさなければならなかったようだ。
こうした技術が多く積まれた空母「ミッドウェイ」。その展示から、当時のリアルな様子が目に浮かんだ。
(太田智美)
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