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機能を全て盛り込んだのに売れない!? ノートPCのデザインと使いやすさの関係“中の人”が明かすパソコン裏話(2/2 ページ)

メーカーの中の人だからこそ知っている“PCづくりの裏話”を明かすこの連載。今回はノートPCに求められる機能のバランスについてご紹介します。

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モバイルノートPCは多機能だと商品性が下がる?

 さて、一例として挙げたエアコンの関係はノートPCにも当てはまるのでしょうか。例えばモバイルノートPCの企画をするとして、ユーザーの要望を聞いてみると次のようなものがよく挙げられます。

 「外部機器をたくさんつなぐのでUSBポートを4つ、映像出力にはHDMIポートを1つ、まれに必要となるVGAポート(ミニD-Sub15ピン)、LANポート、DVDドライブも必要、デジカメの写真を取り込むためにSDカードスロットも。数字の入力用にテンキーも欲しい」

 ――これらを満たせば確かに便利なノートPCが完成します。しかし、持ち運びしやすさという観点では商品としての価値が下がる可能性があります。これだけ多くの機能を盛り込むと重く、厚さも分厚くなってしまうためです。

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 実際に、私の会社でも法人利用での利便性を追求し、複数のUSBポート、VGAポート、LANポート、DVDドライブ、SDカードスロットなど必要なポートを盛り込み、さらにメンテナンス性能や耐久性を備えて、その代わりに重厚感のある製品が存在していました。

 当然「全ての要求を満たしました!」と自信をもってご案内するわけですが、残念ながらお客さまからは「重い」「武骨だ」「持ち運びにくい」という声が寄せられてしまいます。なぜでしょうか。

 ユーザーはさまざまな快適性を求めてはいますが、最も重要なポイントは薄くて軽く、モバイル利用で快適に使えるノートPCであることです。快適性はこの前提が満たせなければニーズに合致しません。

 また「薄さ・軽さ」と「機能の盛り込み」は相反する関係になるので、本当に必要な機能に絞り込んでいく「断捨離」(だんしゃり)が必要になります。では、どんな機能に絞り込んでいけば良いのでしょうか。

技術革新により不要となる機能も

 皆さんはDVDまたはCDの書き込みをこの1年に1回でも行いましたか? 私は今年に入って1回だけDVDを作りました。子どもの運動会で撮影した映像をDVDプレーヤーとテレビで見る必要があったためです。

 それ以外の場面では、写真や動画といったファイルをUSBメモリに入れて渡したり、クラウドストレージサービスでデータを受け渡しすることが多くなりました。もはやPCでDVDを使う機会は、年1回あるかどうかになってしまいました。Microsoft OfficeやAdobeのソフトウェアも、今やダウンロード販売が中心です。

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LANポートや映像出力は?

 PCの主な用途であるインターネット接続はワイヤレスが主流となり、有線LANポートはほとんど使う機会がなくなってきました。企業内のセキュリティによって無線LANを許可していないなどの事情を除けば普及率は非常に高いといえます。移動先で使うことはほとんどないでしょう。

 プロジェクターなどで映像出力に使用するVGAポート(ミニD-Sub15ピン)は、ビジネスの場面ではまだ使うことがあるかもしれません。しかし、端子が小型で高品質なデジタル出力が可能であるHDMIのほうが優れています。さらには、Miracastなどのワイヤレス出力に対応したプロジェクターやディスプレイも増えており、VGAポートはこれから活用機会がどんどん減っていくポートになります。タブレットであれば、そのまま画面を見せたほうが素早く物事を伝えられるかもしれません。

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 このように、あまり使わなくなってしまった機能を搭載して本体の厚みが増してしまうよりかは、薄く、軽量なノートPCとして必要な時にUSBポート経由で接続する形のほうが、商品性を高めることができるわけです。

 USBにも「Type-C」と呼ばれるさらに小型な規格が登場しました。連載の第1回で紹介した通り、これによって製品をより薄くすることができ、加えてより大きな電力を供給できるので、製品への電源供給もこの1本で賄うことが可能です。

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USB-C規格のドッキング機器を利用して映像やLANポートを接続

 製品を選ぶ時には、自分が使うであろう機能の全てを満たしているという観点ではなく「このノートPCで何をしたいのか」ということを念頭にして商品を選択すると、ライフスタイルにベストマッチする製品へたどり着くことができるでしょう。

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著者:白木智幸(しろき・ともゆき)

日本HPPC&タブレットエバンジェリスト。パーソナルシステムズ事業本部に所属し、法人向けタブレット製品のプロダクトマネージャ(製品企画)とビジネスプラン(販売計画)を担当。PCやタブレットの楽しさや素晴らしさを広くお伝えすることを通じ、グローバル化の進む現代でよりよい働き方を実現するためのエッセンスを提供することがテーマ。


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