nanapiも「健康・医療カテゴリー」非公開に 「内容の正確性をいま一度精査」
KDDI子会社が運営するキュレーションサイト「nanapi」が、医療・健康などの一部記事を非公開にしていたことが分かった。
KDDI子会社のSupershipは12月8日、同社が運営するノウハウ共有サイト「nanapi」で、医療・健康カテゴリーなどの一部記事を11月30日から順次非公開にしていることを明らかにした。「内容の正確性をいま一度社内で精査し直す」(同社広報担当者)という。
nanapiは2009年にスタートしたキュレーションサイト。「恋愛」「料理」などのカテゴリーごとに記事を公開しているが、ネット上では12月初めごろから「健康・医療カテゴリーが削除されている」「医療系の記事を見ようとしても、nanapiのトップページにリダイレクトされる」などの指摘が上がっていた。
Supershipによれば、記事の非公開化は11月30日に開始。「健康・医療」「美容」「育児・教育」などのカテゴリーの記事を、約1万4000件(サイト全体の約10%)非公開にしたという。「医療関連の記事を中心に、内容の正確性をいま一度社内で精査し直すため、記事の根拠や正確性が十分でないと考えられる記事について、非公開化が適切と判断した」(同社広報担当者)。
根拠や正確性が十分だと判断した記事は順次再公開する予定。専門家の確認が必要と判断した記事は、確認の上で公開していくという。
親会社のKDDIは、編集部の取材に対し「Supershipがnanapiの記事を一部非公開にしていたことは把握している」と答えた。
相次ぐ医療記事の非公開化
11月下旬、ディー・エヌ・エー(DeNA)が運営する医療情報のキュレーションサイト「WELQ」が「信ぴょう性が薄い」「無断転載とみられる内容が多い」などの指摘を受け、全記事を非公開にしたことを発端に、他のメディアでも記事の非公開化が相次いでいる。
サイバーエージェントは、同社バイラルメディア「Spotlight」の記事約10万件のうち、内容に問題がある医療関連の記事数千件を、12月1日〜2日にかけて非公開に。さらに8日、Spotlight記事のうち、登録ライター(一般ユーザー)が投稿した記事6万8000件と、女性メディア「by.S」の登録ライターが投稿した記事2万9000件を非公開にした。
リクルートの「ギャザリー」も、12月1日から順次、健康に関連する記事約1万6000本(全体の約4分の1)を非公開に。従来から全記事を編集部でチェックしていたが、一部のライターから「自分の記事に問題がないか心配」などの声があり、再チェックすることにしたという。社内の審査チームで精査した上で再公開を目指す。
WELQの件とは無関係だが、ヤフー子会社のTRILLが運営する女性向けサイト「TRILL」も10月7日、「写真を無断転載されている」と外部から指摘を受けたとし、編集部独自で執筆した記事を全て削除したという。削除本数は非公開だが、TRILLの記事全体の5%ほどに当たるとしている。
お詫びと訂正
初出時、「『Spotlight』の記事のうち、内容に問題がある医療関連の記事約10万件を、12月1日〜2日にかけて非公開に」としていましたが、「『Spotlight』の記事約10万件のうち、内容に問題がある医療関連の記事数千件を、12月1日〜2日にかけて非公開に」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。
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