「水素水」表示改善、国民生活センターが要望 「水素ガスが入っていなかった」商品も
「水素水」の一部に、薬機法などに違反した表示があるとし、国民生活センターが事業者に改善を要望している。
国民生活センターは12月15日、高濃度の水素を含むとうたって販売されている飲用水「水素水」の一部に、医薬品医療機器等法(薬機法)などに違反した表示があるとし、事業者に改善するよう要望したと発表した。市販されている水素水を調べたところ、開封時に水素ガスが入っていなかった商品もあったとし、「水素水の水素濃度は、飲むときに減っている可能性がある」などと一般消費者に注意を呼び掛けている。
全国の消費生活センターなどには、水素水に関する相談が2011年以降2260件寄せられており、年々増加しているという。
国民生活センターは、パッケージ入り水素水10商品と、水素水生成器9商品・合計19商品を調査。うち15商品は販売元のWebサイトなどで効能・効果の記載があり、中には「様々な病気の原因といわれる悪玉活性酸素を無害化する」「アトピーに かゆい部分に水素水をつけて下さい」など薬機法や健康増進法、景品表示法に抵触するおそれのある記載もあったという。
パッケージ入り10商品の開封時の溶存水素濃度を測定したところ、充てん時・出荷時の濃度記載があった容器入り5商品のうち3商品は表示より低く、表示がなかった3商品のうち、ペットボトルの2商品では水素ガスが検出されなかったという。
開封時に水素が検出された8商品を、未開封のまま20度で1カ月間保管したところ、全商品で水素濃度がやや低下。水素生成器で作った水をコップに移し替えると、1時間後には水素濃度が約50〜60%に低下していたという。
事業者へのアンケートも実施。水素水の飲用で期待できる効果として最も多かったのは「水分補給」だったという。
国民生活センターは事業者に対して、健康保持や増進効果があると受け取れる記載を改善することや、水素濃度を表示する場合、賞味期限まで保証できる濃度を記載することなどを要望。消費者庁・厚生労働省に対しても、業者に表示の改善を指導するよう要望しした。
一般消費者に対しては、「水素水には特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品として許可、届出されたものはない」と説明。水に溶けた水素ガスは時間経過で徐々に抜けていき、パッケージ入り水素水の水素濃度は、飲むときに減っている可能性があることなどをアドバイスしている。
関連記事
- DeNA南場会長「ネットの医療情報は役に立たない」「WELQの『がん』記事にがく然」
「ネットの医療情報は役に立たないと、2011年時点で思っていた」――DeNAの南場会長は、「WELQ」問題を謝罪する記者会見でこう話した。 - DeNA、医療情報サイト「WELQ」全記事を公開停止 「信憑性薄い」指摘受け
「信ぴょう性が薄い」などと批判が殺到していたDeNAの医療情報サイト「WELQ」の全記事が非公開に。社内に管理委員会を設置し、信頼性を担保する仕組みを整備するという。 - 消費者庁、Windows 10の無償アップグレードに注意喚起 確認事項を公開
消費者庁がWindows 10の無償アップグレードに関する情報提供資料を公開した。確認・留意が必要な事項をまとめている。 - 「アダルトサイトとの解約交渉、行政書士はできません」 国民生活センターが注意呼び掛け 検索連動広告で誤認も
「アダルトサイトとの解約交渉、行政書士はできません」と国民生活センターが注意を呼び掛け。消費生活センターに似せた名前で検索連動広告を出しているケースもあるという。 - スマホの通信速度、実効速度も表示を――総務省が指針案
スマホなどのネット接続サービスで、事業者がうたう最大速度と実際の速度が乖離している問題を受け、総務省の研究会が事業者に対して、受信実効速度も表示させる指針案を策定・公表した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.