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自転車泥棒、追い詰めた執念……「ヤフオク!」のアラートで追跡、Facebookで本人特定(2/4 ページ)

「大切な自転車が盗まれた!」。彼女はネットを駆使して犯人を追い詰め、逮捕につなげた。まさに執念だった。

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「ヤフオクに出品されるかもしれない」

 「犯人が『ヤフオク!』に自転車を出品するかもしれない」。彼女はそう考えた。ネットに詳しくはなかったが、かつて、あるお笑い芸人が盗んだ自転車をヤフオクに出品していたというニュースがあったことを思い出したのだ。

 ヤフオクにアクセスし、「出品物のアラートを受け取る機能があるかもしれない」と探したところ、「オークションアラート」を見つけた。盗まれた自転車と同じブランドの商品が出品されるたび、メールが届くよう設定した。

 その後は毎朝、通勤電車の中でスマホを使ってアラートをチェックした。出品されるのはハンドルなどパーツの出品ばかり。たまに自転車も出品されていたが、盗まれたものではない。成果はなかなか上がらなかった。

1カ月に100回電話も

 「犯人が乗り捨てて放置し、撤去されたかもしれない」とも考え、地域の放置自転車コールセンターに電話もかけまくった。池袋のある豊島区に加え、練馬区や中野区、足立区など周辺の区に、朝、昼、晩と、1カ月間ほどほぼ毎日。合計100回ほどかけたという。

 そんな彼女に彼は呆れ果てていた。「高価なロードバイクが乗り捨てられるはずはないし、見つかるわけもない」。彼女はその後も、彼に黙って探し続けた。

「これ、似てない?」

 事態が急変したのは、盗まれてから半年以上経った15年11月のある朝。ヤフオクアラートで、盗まれた自転車と似たものが届いた。「これ、似てない?」。画面をキャプチャし、彼氏にLINEで送ると「すごく似てる」。

 出品者は見るからに怪しかった。数十万円する自転車を半年で50台近く売っており、古い出品の取引詳細は消されている。写真も怪しい。ある自転車は左向きばかり、別のものは右向きばかり。彼の自転車は右側に傷があったが、出品写真は左側から撮ったものばかりだった。

 ヤフオクの掲示板を使い、出品者に質問してみた。「この自転車、傷はありますか?」。回答は、「写真に写っていないところですが、傷があります」……説明された傷の場所は、盗まれた自転車のものと同じだった。間違いない。胸が高鳴る。

 池袋署を訪れ、担当者に出品画面を見せて相談した。「落札して自転車が届き、それが盗まれたものなら出品者を捜査できる」――そう言われ、落札を決めた。

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