利益優先でリスク軽視 医療記事の監修「コスト見合わない」と見送り……DeNAキュレーションサイト問題の背景(4/4 ページ)
「ゲーム事業の成長が鈍化する中、次の事業の柱を見つけなくてはという焦燥感があった」――第三者委員会の報告書は、DeNAがリスクを十分精査しないままキュレーションメディアに突き進んだ背景を分析している。
「永久ベンチャー」は免罪符ではない
報告書は問題の根本について、「キュレーション事業の分析やリスクの把握などについて議論を十分に尽くさないまま参入してしまったこと」と指摘。「参入するに当たっては、社内で『キュレーション事業とは何か』の共通認識を持つべきだったが、そういった議論も行われず、事業に突き進んでいった印象がある」とみる。その背景には、「ゲームを中心としたDeNAの成長モデルにかげりがあり、新たな成長エンジンを見つけなければならないという焦燥感」があったとしている。
コンプライアンスの軽視については、「大企業病に陥っているDeNAにスタートアップマインドを浸透させる」という旗印のもと、コンプライアンス意識の低いiemoやMERYに対して「逆に遠慮してしまった」ことが背景にあるという。
DeNAは「永久ベンチャー」を標榜し、スピード感ある意思決定を重視している。この価値観は評価しつつも、ことキュレーション事業においては、「速ければ易きに流れてよいことを意味するかのごとく曲解され、慎重な意思決定やリスク分析がないがしろにされた」と指摘。「自らが欲することを行いやすくするための免罪符として『永久ベンチャー』というスローガンを都合良く唱えるようになったのではないか」とし、反省を促している。
メディア運営に当たっては「記事の内容そのものを忘れて成長性の指標ばかりを追い求めると、一時的に多くの人の目に触れる記事やサイトを作り上げることには成功しても、真のファンを獲得することにはつながらない」と指摘。キュレーション事業の再開の是非を判断するに当たっては、ネットにおける情報発信のあり方、発信した情報の権利保護のあり方、ベンチャー企業のあり方、クラウドソーシングのあり方などについて十分に議論する必要があると提言している。
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