「再開めどは白紙」「収益の柱にするのはあり得ない」――DeNA南場会長、キュレーション事業の今後に言及
DeNAの南場智子会長が「キュレーション事業の再開は、まったくめどは立っていない」と記者会見で話した。
「キュレーション事業の再開は、まったくめどは立っていない。収益の柱とすることはあり得ない」――ディー・エヌ・エー(DeNA)の南場智子会長が3月13日、キュレーション事業問題をめぐる記者会見でそう話した。
「WELQ」などDeNAが運営していた一連のキュレーションサイトに不適切な内容の記事が含まれ、全サイトを非公開にした問題で、同社は3月13日、第三者委員会の調査報告書を発表。南場会長が代表取締役に復帰する人事も発表した。
都内で同日開いた会見で、南場会長は「(サービスを全て停止してから)3カ月あったので、事業として継続が可能かを検討してはいた」と話す。ただ「再開ありきではなく、どのような形ならば世の中に認められるか、問題を起こさないサービスになるか」を考えていたという。
「信ぴょう性が低い」「他メディアから内容を無断転載している」など批判を浴びた一方、「楽しんで使っていたユーザーも多くいて『再開しないのか』という声もいただいた」(南場会長)。サイトごとにテーマを区切って記事を配信すること自体には引き続きニーズはあるとみる。
だが「再開するとしても同じように提供することはしない」。校閲体制の整備やライターの教育徹底など、見直す点があるという。「問題が起こった後、社内で議論し、専門家に話を聞けば聞くほど、メディア運営は奥が深いと分かった。経験のない私たちが簡単に、形だけ整えてできるものではない」(南場会長)。
第三者委の報告書によると、DeNA幹部はモバイルゲーム事業の成長鈍化に対する強い危機感を抱き、キュレーション事業を“第二の事業の柱”として位置づけていたという。「キュレーション事業を継続する場合、DeNAの事業の柱とするのか」――そんな記者の質問に対し、南場会長は「収益の柱というのはあり得ない」と返答。「何らかの形で新しいサービスとしてできないか検討したいが、まったくの白紙」とした。
「DeNAはもうけ主義」の声に「本当につらかった」
「DeNAはもうけ主義だよね、だからこんな問題を起こすんだよ」――守安功社長は、問題発覚後にそんな声を社内外から受け「本当につらかった。深く反省した」と話す。
第三者委員会からの調査報告を待つ間、守安社長は「私なりに本質的な原因は何か」を考えたという。「キュレーション事業が、ユーザーにどんな価値を提供しているのか、世の中にどのように貢献しているのか、議論が徹底されていなかった」。
「新しいことに挑戦する姿勢こそが『DeNAのDNA』。新しい事業を拡大していく上では『攻め』の姿勢だけでなく、ルールを定めたり、管理・コンプライアンス体制を整備したりと、じっくり足場を固める必要がある。それが不十分だった」(守安社長)
“不十分だった”トップマネジメントやガバナンスを強化するため、南場智子取締役会長が代表取締役に復帰する。守安功社長と並んで代表取締役2人体制にすることで「複眼的に意思決定しながら確認する体制」(南場会長)にするという。
創業者でもある南場会長が代表取締役を退いていた背景には、病気療養中だった夫・紺屋勝成氏(元USEN取締役、昨年12月に死去)の看病を優先することのほかに「DeNAなどのベンチャー企業は、創業社長のイメージと同一視されがち。そうであってはいけないと考え、次の世代にバトンタッチするとともに、意思決定者が誰かをはっきりさせるため代表取締役は1人にすることを重視してきた」からだという。
しかし今は「その点にこだわっている場合ではない」(南場会長)と判断。「私が戻れば解決することではない。だが、守安社長とはお互いに得意なところが違う。管理体制の充実に努めていきたい」とした。
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