KDDIと三菱東京UFJ銀行が共同出資するじぶん銀行は3月23日、キャッシュカードなしで全国のセブン銀行ATMから現金を入出金できるサービスを27日10時にスタートすると発表した。キャッシュカードの代わりにスマートフォンアプリ(iOS/Android)を利用する。20〜30代の“スマホ世代”がターゲットだ。
「スマホATM」は、じぶん銀行の公式アプリをキャッシュカードの代わりに利用できる“キャッシュカードレス”サービス。全国のセブン-イレブン店舗に設置されているATM(セブン銀行ATM)画面に表示されるQRコードをアプリで読み取り、暗証番号を入力すると入出金が行える。
ATMとスマホの連携には、QRコードをカメラで読み取る手法を採用。利用できるスマートフォン端末の幅を広げ、ATMのハードウェア改修が不要なのがメリットだ。全国約2万3000台のセブン銀行ATMで利用できるという。
「所要時間はキャッシュカードを使うと30秒、スマホATMは40秒ぐらい。カードを取り出す手間を考えれば、十分利便性は高い」(じぶん銀行IT戦略部の中村力部長)
セキュリティ対策として、アプリ立ち上げ時に4桁のパスワードを求める仕組みを用意。スマホ本体のロック機能や通信キャリアが提供している端末の遠隔ロック機能との組み合わせで、万一の端末盗難・紛失時にも第三者の不正利用リスクを抑えられるとしている。
「決済サービスのスマホ集約が進んでいる」
じぶん銀行は、KDDIと三菱東京UFJ銀行が共同設立したインターネット銀行。同社の鶴我明憲社長は、今回のスマホATMサービスを「次世代の銀行取引」と説明する。
「決済サービスがスマホに集約される流れの中で、『キャッシュカードもスマホに入らないのか』という声を顧客から受けていた。(スマホATMによって)ネットバンクの“いつでも便利”というメリットに加えて、“多くの人に多くの場所で”を実現できる。じぶん銀行の利用者のうち、半分が20〜30代。スマートフォンとともに生きている人々の利便性をさらに高められる」(鶴我社長)
鶴我社長によれば、このサービスによって直接的な収益増につながるわけではないが、利便性向上によって口座件数の増加を見込んでいるという。
「このサービスで稼ごうという気はない。セブン銀行ATMの画面に『スマホで入出金』というボタンが表示されるだけで宣伝効果がある。それを見た人が『私も使えないのかな』と思えばこちらの勝ち。顧客の獲得につながればうれしい」(鶴我社長)
じぶん銀行は、数年前からATMとモバイルをコアにした新事業を検討していたという。今後もフィンテックやAI(人工知能)、IoT(Internet of Things)などを活用したサービスを模索する方針だ。
「最先端を行くモバイル銀行としてさまざまなチャレンジを行っていきたいが、あくまで顧客のニーズに沿った、奇をてらうのではなく地に足の付いたサービスを提供していきたい」(鶴我社長)
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