Google、人間のように線画を描く人工知能「sketch-rnn」を養成中
Googleがお絵かきゲーム「Quick, Draw!」にユーザーが手描き入力した膨大なデータを学習材料に訓練した人工知能「sketch-rnn」は、ネコやブタの線画を人間のように描く。
米Googleの研究部門は4月13日(現地時間)、ユーザーが入力した大量の手描き画像で落書きを学習させた人工知能「sketch-rnn」について発表した。「ネコ」「ブタ」などのテーマを与えると、ゼロからベクター画像を描く。
rnnとは「リカレントニューラルネットワーク」の略で、時系列データを扱うニューラルネットワークのこと。sketch-rnnの目標は、人間と同じ方法で抽象概念を描けるようになることだ。
学習用データとして、同社が昨年11月に公開した「A.I. Experiments」内の「Quick, Draw!」(出されたお題の絵を描くと、AIがそれが何かを当てるというゲーム)にユーザーが手描き入力した画像を利用した。
ネコやフクロウなど75のクラス(種類)の絵の描き方を覚えさせるために、1クラスにつき7万件の、描く手順を含めて記録したデータを用いた。
学習後、人間がお手本になる絵を入力してみせると、それが何かを判断し、似た絵を描くが、単に真似をするのではなく、一旦抽象概念にエンコードしたものをオリジナルの絵としてデコードして描く。従って、例えば目が3つあるネコや足が6本あるブタの絵を見せても、一般的なネコやブタの絵を描く。
椅子の絵をお手本にネコの絵を描くよう指示すると、椅子とネコが融合したような絵を描く。また、描きかけの絵を、それが何を描こうとしたものかを推測して補完することもできる。
Googleは、sketch-rnnの精度が上がれば、デザイナーの発想を助けるツールなどに応用できるとしている。
関連記事
- Google、手描きの絵を機械学習でプロの絵に置き換える「AutoDraw」公開
AutoDrawは、タッチ対応画面に手描きした絵を機械学習で解析し、プロが提供する絵に変換するGoogleの無料Webアプリ。資料用の概念図やバースデーカードの作成に使えそうだ。 - 「馬がシマウマに」「夏の写真が冬に」 “ペア画像なし”で機械学習するアルゴリズム「CycleGAN」がGitHubに公開
米バークレーAIリサーチラボラトリーと米カリフォルニア大学バークレー校の研究者が公開したアルゴリズムは、画像ペアのトレーニングデータがなくても学習・変換を可能にする。 - Google、機械学習で低解像度画像をシャープに見せる「RAISR」をサービスで実用化
Googleは、高解像度画像の4分の1のサイズで高品質な画像を表示できる機械学習技術「RAISR」を、まずはGoogle+で実用化した。今後他のサービスにも適用する計画だ。 - Google、AI研究の成果を体験できるWebサイト「A.I. Experiments」公開
Googleが、人工知能(AI)技術でどんなことができるのかを紹介するWebサイト「A.I. Experiments」を公開した。描いた絵が何だかをAIが当てるゲームや膨大な量の鳥の声のデータベースなどで遊べる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.