Google、ロシアでの独禁法裁判で和解 約8.5億円の罰金支払い
ロシア検索大手のYandexの2015年の申し立てで始まったロシアにおけるAndroid端末の独禁法違反をめぐる裁判で、Googleが和解に応じ、約4.4億ルーブルの罰金を支払う。今後はロシアで販売されるAndroid端末にはGoogleと競合するアプリもプリインストールできるようになり、ユーザーは検索エンジンを選べる。
ロシア連邦独占禁止局(FAS)は4月17日(現地時間)、米Alphabet傘下のGoogleとの独禁法違反をめぐる裁判で和解したと発表した。GoogleはFASに対し、4億3807万ルーブル(約8.5億円)の罰金を支払う。
この裁判は、2015年9月、ロシアの検索大手YandexがGoogleの独禁法違反を申し立てたのが始まり。GoogleがAndroid端末メーカーとの契約で、Googleのアプリと競合するアプリ(例えばYandexの検索アプリ)のプリインストールを禁じているとし、それが独禁法に違反するとしていた。
この和解により、Googleはロシアで販売するAndroid端末に関し、メーカーに対して自社アプリの優先的なプリインストールと競合アプリのプリインストール禁止を条件にできなくなる。
今後はAndroid端末にGoogleアプリとともにサードパーティー製アプリもプリインストールされる。ユーザーは、例えば検索エンジンは、端末の設定の際にどのアプリを使うかを選べるようになる。
Yandexのアルカディ・ヴォロシCEOは公式ブログで、「この和解の下、ロシアの5500万人のAndroidユーザーは検索エンジンの選択の自由を与えられた」と語った。
Googleは端末メーカーに対し、「Google Play Store」をプリインストールする際は「Googleマップ」などの一連の自社製アプリもプリインストールするよう契約で指示しており、また、一部のメーカーに対しGoogle検索アプリだけをプリインストールする場合は報奨金を提供している。
この件については欧州連合(EU)も問題視しており、欧州委員会は昨年4月に米Alphabetに異議告知書を送っている。
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