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「すごすぎる」――地方のパン屋が“AIレジ”で超絶進化 足かけ10年、たった20人の開発会社の苦労の物語(3/5 ページ)

焼きたての手づくりパンをレジに持っていくと、画像認識で瞬時に会計……そんな“AIレジ”が地方のパン屋にじわりと浸透している。その裏側にはシステム開発会社の苦闘の歴史があった。

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 「何回かに1回、2つのパンがくっついて認識されてしまうことがあって……。そのときはお店で再撮影して対応してもらっていたが、お客さんからすれば、そのパンは自分が口にするもの。スキャナで読み取れないからといって店員さんに何度も触られたら、いい気分はしないはず。『俺が食べるパンどんだけ触るんや』と」(原さん)

 とはいえ、お客さんは機械のために、わざわざパンを3センチずつ離して並べてくれたりはしない。「いくら研究を重ねてパン1つ1つの認識精度を高めても、何回に1回かは2つのパンがくっついて認識されてしまうのを避けられなかった」。

 技術者たちは、いかに精度を高めて100%に近付けるかを考えていた。「しかしあるとき、うちの社長が開き直ったんです」と原さんは振り返る。「間違えたらお店の人がデータを修正すればいいじゃないか、と」。

 人がデータを直す。つまり、スキャナに載せたパンを動かして再撮影するのではなく、誤認識してしまったパンのデータを、店員がPOS端末のタッチパネル上で切り離せばいいということだ。「今どきの若い店員さんはスマートフォンのタッチ操作にも慣れているし、それでいいじゃないかと」。逆転の発想だった。

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 それを受け、技術者たちはすぐにプロトタイプを開発。これらの仕組みを店舗に展開するため「自社で2カ月ほどでPOSレジ本体も作ってしまった」。技術者集団の意地だった。

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ファベックス2017(東京ビッグサイト)にて

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