魚群探知して魚を釣れる「水中ドローン」日本上陸 価格は17万円……ターゲットは?
CES 2017で発表されたPowerVisionの水中ドローン「PowerRay」が日本でも発売する。全方位カメラで撮影した映像をリアルタイムで見たり、釣りを楽しんだりできる。
ドローンの製造・販売を手掛ける中国PowerVisionは5月16日、水深30メートルまでの海水に潜れる水中ドローン「PowerRay」を日本で発売すると発表した。同日から公式オンラインストアで予約を受け付け、6月上旬から出荷を開始する。価格は16万8000円(税別)から。
PowerRayは水中で動作できる無人機(ドローン)。本体に備える全方位カメラからのリアルタイムな映像を、あらかじめ連携したiOS/Androidアプリで見ながら有線コントローラーで操縦できる。写真や動画を撮影したり、映像をVR(仮想現実)ゴーグルを使って視聴したりすることも可能だ。
オプションの水中魚群音波探知機ユニット「PowerSeeker」や、釣り餌投下機を装着すれば、本体の魚群誘惑灯で魚を引きつけながら釣りもできるという。魚群探知機が収集した魚群分布や水中温度、水深などはアプリから確認でき、ユニットはドローン本体から取り外して単体でも使用できるという。
PowerRayの開発では、水圧に対するバランス制御や、水の浸入を防ぐ防水に苦労したという。無線による操縦も検討したが、リアルタイムで映像を伝送するために有線接続を採用した。
ホビー用途には厳しい価格設定 想定する購買層は
PowerRayは、基本セットが16万8000円、魚群探知ユニットや釣り餌投下機、VRグラスがセットになった一番高価格なモデルで21万8000円(いずれも税別)と、ホビー用途にしては少し手を出しにくい価格帯だ。どのような購買層をイメージしているのか。同社の創業者であるウォーリー・ヅェンCEOは次のように説明する。
「主に2つのターゲット層を想定している。1つはレジャー用。ボートやヨットを保有する人は、水中がどうなっているのか気になるはず。VRゴーグルで海中散歩を楽しんでもらいたい。もう1つは釣りが好きな人。魚群探知機によって魚を探しやすくなるなど、より楽しみながら釣りができるようになるだろう」(ヅェンCEO)
価格については、ターゲットとしている“船を保有するような層”にとって、そこまで高い値付けではないと考えているという。今後、量産が進めば価格を1段階下げる可能性もあるとした。
同製品は海水内での使用も想定。買ったはいいが、すぐ壊れてしまっては意味がない。ハードウェアとしての使用耐用年数については、「適切なメンテナンスをすれば、少なくとも5〜10年は耐えられるだろう」(ヅェンCEO)と説明する。
ドローンやロボットなどを開発・製造するPowerVisionは2009年創業。従業員は約500人。米シリコンバレーに開発拠点を置き、中国、米国、カナダ、オーストラリア、ドイツ、フィンランドに製造・販売拠点を設けている。
ヅェンCEOは、人類の能力を伸ばしていくことが同社のミッションであると話す。
「人間は遠くを見るために望遠鏡を、遠くへ足を伸ばすために飛行機など、いろいろな道具を発明してきた。私たちは人間の目と手に着目。遠くの景色や水中に手や足を伸ばすために、ロボットで解決しようと試みてきた。あらゆる壁をぶち壊してイノベーションを起こしたい」(ヅェンCEO)
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