なぜKDDIが「離島」に注目? 昆布の島・利尻で「しまものラボ」を開く理由(2/2 ページ)
KDDIが北海道利尻町で地域活性化プロジェクト「しまものラボ」をスタート。離島の企業にオンライン販売のノウハウを教え「au WALLET Market」での販売につなげる。
通信事業者が離島を支援する意味
しまものプロジェクトは、2016年10月に鹿児島県の喜界島でスタート。利尻島は第2弾に当たる。なぜKDDIは今、離島に目を向けているのか。
KDDI北海道総支社の岩澤正行管理部長は「14年3月に沖縄の若者を支援するプロジェクトがあり、離島地域の暮らしや課題を知るきっかけになった。島外への移動手段や産品の魅力発信といった課題を、KDDIのリソースで解決できると思った」と話す。
利尻島の関係者とは、有人離島と企業のマッチングイベント「しまっちんぐ」で出会い「ぜひ一緒に」と声をかけられたという。利尻町の保野洋一町長は「人口減少を背景に、利尻島にはさまざまな課題がある。町としても積極的にしまものラボをサポートし、産業振興につなげていきたい」と意気込む。
KDDIとしては、まだ一般に知られていない離島の物産をau WALLET Marketで扱うことで、商品ラインアップの拡充や魅力向上につながるメリットもある。岩澤さんは「KDDIの
CSR活動として自社のITを通じて離島を支援し、社会課題解決の一助としていきたい」と話した。
「しまものラボ」の内容も刷新
地元事業者にノウハウを教える「しまものラボ」の開催も、16年の喜界島に続き2回目。岩澤さんは「1回目から見えてきた課題は『食品衛生』。全国展開のためにECサイトで販売するには、さまざまな制約がある。それをクリアした商品を事業者が作れるような講義内容を取り入れた」という。
講義は離島経済新聞社がサポート。喜界島と同じく、食のプロモーションを手掛けるオアゾの松田龍太郎プロデューサーを講師に迎えた。5月25日には初回講座として「商品の売りと課題はどこか」「商品をいかに消費者と結びつけるか」などを地元事業者にレクチャーした。
講義後の「しまものマルシェ」での販売は、KDDIが市場調査を含めてサポートする。約1500万人が利用している有料会員サービス「auスマートパス」(利用者数は2017年3月末時点、同社調べ)内の「商品モニター」や、約7000人のKDDI本社社員による試食アンケートから、幅広く客観的な意見を集め、マーケティングに生かす予定だ。
KDDIは今後も「通信事業者が持つノウハウや資産を活用し、離島地域の活性化を目指す」としている。
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