日本音楽著作権協会(JASRAC)が示している、音楽教室から著作権料を徴収する方針をめぐり、ヤマハ音楽振興会や河合楽器製作所など249社が結成している「音楽教育を守る会」は6月20日、JASRACの徴収権限がないことを確認する訴訟を、東京地裁に同日付で提起したと発表した。
著作権法では、著作物を公衆に聞かせるために演奏する権利「演奏権」を、作詞・作曲者が占有すると定めている。JASRACは、楽器の演奏を教える音楽教室が「公衆に演奏の場を提供している」とし、来年1月から教室が得た受講料の2.5%を、著作権料として徴収すると発表している(関連記事)。
音楽教育を守る会は、この方針に反発。音楽教室の演奏は(1)教師と少数の生徒によるもので、「公衆」への演奏ではない、(2)「聞かせることを目的とした」演奏ではない――などと主張している。さらに音楽教室からの徴収は、「文化の発展に寄与する」という著作権法の立法目的に「背を向ける解釈」として、JASRACを批判している。
同会は「単なる法解釈の問題ではなく、民間の音楽教育が日本の音楽文化の振興に果たしてきた役割をあらためて問う契機になる」と説明。「日本の音楽教育、将来の音楽文化の発展を阻害する問題に団結して立ち向かう」としている。
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原則として、音楽教室が得た受講料の2.5%を徴収する。
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