「音楽教室から使用料をもらいたいと思わない」――「残酷な天使のテーゼ」作詞者、JASRACの方針を疑問視
音楽教室からも著作権料を徴収するJASRACの方針を、同協会の正会員で作詞家の及川眠子さんが疑問視。
「音楽教室で『練習のために』弾いたり歌ったりするものから、使用料をもらいたいと思ったことなどない」――日本音楽著作権協会(JASRAC)正会員で、「残酷な天使のテーゼ」などの作詞を手掛けた及川眠子(ねこ)さんが2月3日、自身のTwitterアカウントでそんな投稿をツイートし、波紋を呼んでいる。ネット上では「及川さんの意見に賛成」「JASRACは少しやりすぎだと思う」などの声も上がっている。
JASRACは2日、「ヤマハ音楽教室」など楽器の演奏を教える教室から著作権料を徴収する方針を明らかにした。音楽教室が「公衆に演奏の場を提供している」との判断に基づくものだが、教室を運営する業界側は反発している(関連記事)。
JASRACの方針を及川さんも疑問視。「音楽はタダではない」「違法ダウンロードなどの著作権侵害は厳しく取り締まってほしい」とする一方、「音楽を学びたい、いつか音楽の世界で花を咲かせたいと願う子どもたちには、自由に楽曲を使わせてあげてほしい。それが未来の音楽への恩返しだ」と訴えている。
及川さんはJASRACの正会員で、同協会に楽曲の著作権を管理してもらい、使用料を受け取っている立場でもある。しかし「音楽を作ってる、そして音楽によって生計を立てている者の側から言わせてもらう。音楽を不自由なものにしてはいけない!」と、協会の姿勢に反発している。
Twitterユーザーからの「JASRACは著作者の権利を守るというよりは、営利目的で使用料を徴収しているイメージがある」といった声に対し、「音楽著作権協会をこういうイメージで見てる人は多い。そして多くの作家やアーティストが『JASRAC嫌い』に陥る」と及川さん。その結果「JASRACに入会しようとしない若い作家やアーティストたちがますます増えていく。そのことにまず危機感を抱くべき。このままではJASRACの未来はない。それは音楽の未来が危うい、というのと同じこと」と指摘している。
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