「警察が同人漫画家に配慮求めた」報道を「憂慮」 同人誌即売会連絡会がコメント
成人向け同人漫画の作者に対して警察が配慮を求めたとする報道について、全国同人誌即売会連絡会が「事態を憂慮している」とコメントを発表した。
少女の身体を触った強制わいせつ容疑などで埼玉県警に再逮捕された男が、「成人向け同人漫画をまねた」と供述したため、県警が漫画の作者に対して、作品が模倣されないよう配慮を求め、漫画家が了承した――との報道について、コミックマーケット準備会などが参加する「全国同人誌即売会連絡会」がこのほど、「事態を憂慮している」との声明をWebサイトで発表した。
全国同人誌即売会連絡会は、コミックマーケット準備会やCOMITIA実行委員会、ガタケット事務局など、同人イベントを主催する30以上の団体で構成している。
20日付けで掲載された声明では、今回の報道を受け「事態を憂慮している」とコメント。「報道されている内容が事実なら、事前抑制に該当するおそれがある」とし、「創作表現の自由を著しく軽視するもので、甚だ遺憾」としている。
同会は、超党派の国会議員による「マンガ・アニメ・ゲームに関する議員連盟」(MANGA議連)あてに、埼玉県警の対応・発言についての事実関係の確認を求める要望書を15日に提出し、再発防止を要望したという。同日開催された同議連の総会でも議題として取り上げられ、「当面は事態を見守りつつも、今後も関心を持って注視していく」と結論づけられたという。
容疑者に模倣された漫画の作者は、警察から受けた訪問についてTwitterでコメントしており、「『表現の自由が脅かされた』とか『警察の圧力に屈した』とか『前例ができた』とかいう類の話だとは思ってほしくない」などと述べている。
関連記事
- 成人漫画まねたわいせつ事件発生 警察が作者に「配慮」求める? 報道に作者がコメント
強制わいせつ事件の容疑者が、「成人向け漫画を模倣した」と供述したため、県警が漫画の作者に対して配慮を求めた――との報道に漫画家本人がコメント。「『表現の自由が脅かされた』とか『警察の圧力に屈した』という類の話だとは思ってほしくない」としている。 - (1)アピール不足だったかもしれない──自主規制の現場
警察庁研究会の報告書に登場した「同人誌」「同人誌即売会」。著名な関係者が集まった「同人誌と表現を考えるシンポジウム」では、意外に知られていない印刷所や即売会主催者によるチェック=自主規制の現状報告や課題が話し合われた。 - (2)イベント会場でマジックで塗るということ
「同人誌と表現を考えるシンポジウム」で、即売会主催者、印刷所、書店の代表者が参加した第1部の後半では、実際の修正基準やトラブルなどが話題になった。女性系で修正が増えている現状なども明かされた。前回の冬コミでは男性系より多かったという。 - (3)「貧しい漫画」が向き合ってきた自由と責任と
第2部ではマンガ評論家ら有識者が集まり、同人誌への規制の動きに対する考え方を話し合った。同人界の取り組みを広くアピールしていき、規制側といたずらに対立すべきではないことが主張されたほか、「有害コミック」騒動が吹き荒れた91年問題、表現と「悪影響」の関係などが話題になった。 - 「ネット選挙は票にならない」覆す 参院選29万票の山田太郎氏、落選後も「表現の自由守る活動続ける」
7月の参院選でネットユーザーの支持を受け、29万票を獲得しながら落選に終わった前参院議員の山田太郎氏が、参院選の振り返りと今後についてブログで発表した。 - 2次創作は非親告罪化の対象外に 文化審議会の小委員会、方向性まとまる
文部科学相の諮問機関・文化審議会の小委員会は、TPP合意による著作権侵害の非親告罪化について、同人誌などに代表される2次創作は含めない方向で議論を進めることになった。 - 「MANGA ナショナル・センター」構想実現に向け「MANGA議連」が衆院議長らに訴え
「MANGA議連」が、漫画やアニメ作品を収集・展示する施設「MANGA ナショナル・センター」設立の決議をまとめ、衆議院議長と官房長官に提出した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.