CiNiiの論文データ、国会図書館が収集・保存・Web公開
国会図書館がCiNiiの論文の収集・保存を始めた。NIIと連携し「論文データ長期保存と公開のために連携して取り組む」としている。
国立国会図書館は6月22日、国立情報学研究所(NII)の論文検索サービス「CiNii(サイニー) Articles」に収録されていた論文の収集・保存を始めたと発表した。NIIと連携し、「論文データ長期保存と公開のために連携して取り組む」としている。
学会・協会が国会図書館による保存を希望する論文と、発行終了や編集元の解散などで学会・協会から公開されない論文など、合計約380誌・100万件が対象。準備が整ったものから順次、「国立国会図書館デジタルコレクション」でWeb公開する。
22日から、第1弾となる29誌・5149 件の論文データを公開した。CiNii Articlesの検索結果からリンクをたどって論文データを見ることもできる。
CiNii Articlesは、論文などの学術情報で検索できるデータベースサービス。紙の論文を電子化し、PDFデータを無料公開する国の事業「電子図書館事業」(NII-ELS)を通じて約378万件の論文を電子化・公開してきたが、NII-ELSの終了に伴い今年3月28日、論文データの提供を停止した。
CiNiiの掲載論文の多くは、科学技術振興機構が運営する「J-STAGE」に移行予定だったが、移行が間に合わなかった論文はCiNiiにもJ-STAGEにも載っておらずオンラインから消えてしまい、学生や研究者などが「CiNiiから論文が消えた」と困惑していた。
ユーザーの声を受け、NIIは4月10日以降、経過措置として、一部の論文データの公開を再開するなど、論文へのアクセスを維持する努力を続けている。
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