「被災地再生はドローンの活用が必要不可欠」 南相馬市が楽天とタッグ、その狙いは
「ドローンの活用が必要不可欠」――福島第一原発事故で人口が流出した南相馬市が、楽天とタッグを組む。その狙いは。
「私たちのような被災地は、ドローンの活用が必要不可欠」――2011年の福島第一原発事故の後、人口が減少した福島県南相馬市の桜井勝延市長は6月29日、都内で楽天と開いた会見でそう話した。人手不足を解消するべく、楽天と共同でドローンによる無人配送などを実用化し、復興につなげる考えだ。
楽天は昨年5月、ドローンによる荷物配送サービス「そら楽」を千葉県御宿町のゴルフ場でスタート(関連記事)。今年1月には南相馬市で、ドローンを活用した長距離貨物配送の実証実験を行っている。
南相馬市は、このドローン配送の実用化を急ぐ。現時点では薬事法の関係で実現できないが、調剤薬をドローンで配送するなどの活用を想定しているという。
「すでに一度対面で診察した方を対象に、スマホやタブレットを用いた遠隔診察を導入した。待ち時間なく診察できると年配の方にとても喜ばれている。そうした遠隔診察を受けた人が薬局に行かなくて済むよう、ドローンで配達できるようにしたい」(桜井市長)。
市の再生のため「あらゆる手段を駆使」
「ドローンをはじめとしたロボットの活用も含め、市の再生に向けあらゆる手段を駆使しなければならない」――桜井市長はそう話す。南相馬市では、福島第一原発事故による避難で人口が減少。徐々に回復してはいるが、「産業再生に必要な人手は不足したまま」(桜井市長)という。IT技術を活用し、そうした状況を打破する考えだ。
すでに同市では防災のためにドローンを活用しており、山火事が起きた際にはカメラ付きのドローンで、目視では煙が邪魔で確認できなかった火の元を特定できたという。「消防団が迷わず出動でき、迅速な消火につながった」(桜井市長)。
さまざまなロボットの実証実験を行う「福島ロボットテストフィールド」も整備。2020年にはロボットの競技会「ワールドロボットサミット」開催の一翼を担う。
こうしたドローンやロボットの技術は今後、人手不足の解消や防災以外の用途にも活用していくという。
楽天新サービス開発カンパニーの虎石貴さんは「桜井市長のビジョンや方向性に同意している。楽天としても、南相馬市は最適なパートナーと考えている」とコメント。桜井市長は「市の回復への挑戦には、楽天さんの力が必要。今後も協力をお願いしたい」と話した。
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