「マーケティング業界にイノベーションを」――楽天と電通が新会社 ビッグデータ活用で販促支援
楽天と電通が新会社「楽天データマーケティング」を8月に設立する。楽天の会員基盤やビッグデータ、電通のマスメディアなど、双方の強みを生かし、企業のプロモーションを支援する。
「マーケティング業界にイノベーションを起こしたい」――楽天と電通は7月26日、ビッグデータを活用し、マーケティング事業を行う新会社「楽天データマーケティング」を8月中旬に設立すると発表した。10月1日から営業を始める。楽天の会員基盤、電通のマスメディア活用ノウハウなどを組み合わせ、企業のプロモーションを支援する。
資本金は1億円。出資比率は楽天が51%、電通が49%。社長には、楽天の有馬誠副社長が就く。楽天グループの会員基盤やビッグデータ、電通グループのマスメディア活用ノウハウ、生活者データとインサイト、戦略構築力を生かし、企業のマーケティング活動の効果最大化を図っていくという。
具体的には、ECサイト「楽天市場」で企業向けブランドタイアップ企画の提供を強化。楽天グループのビッグデータを活用した顧客分析に基づき、パーソナライズした広告商品の開発も行うほか、顧客戦略立案も支援するとしている。
楽天はこれまでも、楽天IDに基づいた顧客データをWeb上のプロモーションに活用してきた。電通と協力することで、テレビなどのマスメディア広告にも、そうしたデータを生かせるという。
有野社長は、例えば「ネットにつながるテレビ」を生かしたプロモーションの構想を語る。楽天IDとテレビ番組・広告の視聴履歴をひも付け、ユーザーが楽天市場や楽天ポイントが使える実店舗で買い物をすると、「広告を見た人が商品を買ったかどうか」が分かるという。テレビ広告がどれほど購買につながったかを、従来より正確に分析でき、企業の広告作りに役立ててもらうとしている。楽天IDとひも付いたユーザーの行動データは、個人を特定しない範囲で利用するという。
「マーケティング業界にイノベーションを起こしたい」と有野社長は意気込みを語る。「広告から購入までを線で結び付けることで、広告効果を確認しながらマーケティングができると考えている。楽天ポイントは実店舗でも使えるため、マスメディアやデジタルだけでなく実店舗まで結び付いた、最強のテレビCMになる」(有馬社長)
電通デジタルの榑谷典洋CEOは「デジタルトランスフォーメーションが進む中、データは貴重な資源」と話す。「楽天が持つデータと電通のノウハウを活用することで、デジタル環境に適応した広告を提供できる」
楽天の三木谷浩史社長は「(楽天市場などは)中小規模の店舗を中心に作ったので、大手企業と組んだ企画は少なかった。広告業界大手の電通と組むことで、われわれのデータを使って大企業のサポートも行えるようになる」と語った。
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