斬新、面白い――本当にこれは写真なの? 次世代の“360度自撮り”にハマる人たち(3/3 ページ)
「これは一体何の写真?」 一見イラストのようにも見える不思議な“球形”が映る写真。360度写真の波がじわりと押し寄せている。
企業が「360度写真」を求める理由
360度写真は、法人需要も増えてきたという。LIFE STYLEの前元健志さん(管理部 マーケティング課)は「飲食店、不動産、観光、病院などは360度コンテンツ(写真・動画)と相性がいい」と話す(不動産のVRによる360度内見の試み)。
「既存の写真や動画では雰囲気が伝わりづらい場合は、360度コンテンツの出番。お客さんが現地に行く前に雰囲気を確かめたいと思う場所と相性が良く、オフィスの紹介をしたい企業から声がかかることもある。屋内の情報のほぼ全てを公開することで、席数や部屋の雰囲気などに関する問い合わせを減らす効果もあった」
熱狂的なファンが多いコアなジャンルの記録も360度撮影の醍醐味(だいごみ)。例えば、銀座線の車両が丸の内線内を走ったときの様子が360度動画で公開されたこともあった。運転台にカメラを置き、運転士の視点を味わえるファン垂涎(すいぜん)の内容だ。
Facebook、LINEなどのSNSが、“写真をぐるぐると好きな画角に動かせる360度写真の表示に対応したことや、コンシューマー向け製品の普及などに伴い、360度写真を目にする機会は増えてきた。「法人需要でも、他の企業でやっていた事例をまねしたいという声が増えた。施設案内などは漏れなく360度コンテンツになる時代が早いタイミングで来るのではないか」(前元さん)
渡辺さんは「街中でTHETAを持っていると、あれは何だと通行人が珍しがって見てくる。昔の自撮り棒のような感覚かも」と話す。インパクトのある見た目から、「こんなものが本当にはやるのか?」という声もあったが、これまで自撮り棒は旅行先や宴会などさまざまなシーンで活躍してきた。
写真に目がない女の子たちに360度写真ブームが訪れる日は来るのか。
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