「ローチケ騒動」が教えてくれたもの 炎上の“火付け役”は誰か: ITりてらしぃのすゝめ(2/2 ページ)
「チケットが勝手にキャンセルされた」というツイートを発端に話題となった“ローチケ事件”。自分でも気付かないうちに炎上に加担してしまっている可能性も?
最近、TogetterなどのSNSまとめツールを見ると、まとめ記事タイトルに「誰かが書いたある事実」+「Twitterの反応1」+「Twitterの反応2」というテンプレートが、とても多くなったと思いませんか。
例えば、「新型iPhoneにひっそりと搭載された驚きの機能 『これは意外』『便利すぎる』」といったものです。情報は最初の1ツイートだけで、あとは単なるひと言反応だけ。情報源であるツイートは、大体すでにリツイートで回ってきているものだけで、それ以上の有用な情報がないことがほとんどです。
タイトルの後半にあるひと言反応は、Twitterを検索して見つけた、まとめ主に都合のいい反応をピックアップしています。iPhoneの話程度ならばいいですが、これが政治的な話や、センシティブなお話だったとしたらどうでしょうか。
あなたがSNSで正義感を振りかざすとき、特にマイナス方向の「批判」であれば、書く側は正義を振りかざせるのでスカッとします。でも、それが誰かの「お金」になっているとしたら、どうでしょうか。
アフィリエイトの種として、あなたの正義感が世論として都合よく使われる。そのまとめ記事を見た人が、あなたを攻撃してきたら……。後々のトラブルを考えると、SNSに投稿し、誰かに恣意的にピックアップされることは、もはやほとんどプラスになりません。
はるか昔、PCのウイルスは「こんなこともできるんだ、すごいだろ?」という「自己顕示欲」を満たすものでした。しかし今では、ランサムウェアなどのように、明確に「金銭目的」になりました。まとめサイトも広告収入という「金銭目的」で動いているものが多いです。振りかざした正義感が、誰かの収入のためにいいように使われるのはあまり面白くないですよね。
「炎上に加担しない」という選択
利用者が増えるにつれて、SNSの使い方も変わってきました。もはや、SNSにおける会話は「誰もが聞くことができ、簡単に拡散できる世間話」。こうなると、私たちは「日々感じたこと」を記録するのではなく、その中でも「SNSに投稿できるもの」だけを投稿すべきです。
例えば、美術館や博物館などは、写真撮影もOKというレギュレーションが増えてきました。しかし、撮影していいということと「SNSでシェアしていい」ことは同義ではありません。その間には、ルールやマナーの問題があるはずです。
おそらく、皆さんの中にある正義感も一緒で、正義感を覚えた瞬間に投稿するのではなく、どこかで線引きをすべきなのではないかと思います。これは多分、ビジネス会話では「宗教・政治・野球の話題は避けろ」というようなものに近いと思っています。
炎上しそうなニオイを感じたら、そこには加担しないという選択もできるはず。SNS世界の寛容さが失われつつある今、「そこに正義を感じたら、投稿をやめる」ということを私は心掛けています。もしかしたら、“誰も傷つけない”という前提で、もっとどうでもいいことにSNSを使ってもいいのではないでしょうか。どうしても記録したいなら、プロテクトした「鍵アカ」、もっと言うなら「自分しか見えないアカウント」を作るのもアリでしょう。
そして私は最近、こう考えています――楽しかったSNSにおいて、あなたの正義感をくすぐり拡散させ、ネット上の世論をコントロールしようと、あなたにキラーパスならぬ「キラートス」を送って来るのは、一体“誰”なのか。いま一度確認してみてください。そろそろSNSの炎上事件における「そっとしておいても問題にならない問題発言を最初に見つけ、火を付けた張本人」にも注目すべきときかと思っています。
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