KDDIが「スマートコントラクト」実証実験 ブロックチェーンで携帯修理の運用を効率化
KDDIら3社は、ブロックチェーン技術を使った契約の仕組み「スマートコントラクト」の実証実験を始める。まずは修理受け付け業務の効率化で効果を検証する。
KDDIは9月27日、KDDI総合研究所、クーガー(東京都渋谷区)と共同でブロックチェーン技術を用いたスマートコントラクトの実証実験を始めると発表した。まずは、携帯電話の店頭修理工程の情報共有や効率化を行うという。
スマートコントラクトは、管理者があらかじめ決めた契約の定義をプログラム化しておき、実際に契約を行う取引プロセスを自動化できる仕組み。ブロックチェーン技術によって定義自体の改ざんを難しくし、決済期間の短縮、契約の仲介者がいないことによる不正防止、コスト削減などが期待できるという。
実証実験では、企業向けのブロックチェーン技術「Enterprise Ethereum」を活用。ユーザーが携帯電話の修理を依頼したときに、auショップやメーカーの修理拠点、配送センターなどでシステムを連携。修理ステータスや見積もりなどの情報をリアルタイムに共有し、オペレーションも効率化するとしている。
さらに、修理事業部門とは異なる事業者とのシステム連携も検討する。例えば、携帯電話の修理を行うときに、修理代と機種変更価格、中古市場価格など、情報を持つ事業者が異なる場合でも安全に情報を共有。ユーザーに適した契約を自動判別して提示するという。
KDDIは同日、Enterprise Ethereumの開発や普及に取り組む団体「Enterprise Ethereum Alliance」に加入した。今後もAI(人工知能)やブロックチェーンなどを手掛けるクーガーと共にIoT(Internet of Things)やAI、スマートコントラクトを活用した次世代サービス基盤の開発に取り組むという。
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