「ネットの出会いは“錯覚が起きやすい”」「うまくいく恋愛には“しがらみがある”」と話すのは、これまで1000人以上の恋バナを聞いてきた恋愛相談ユニット「桃山商事」の清田隆之さんと森田雄飛さん。
恋愛相談のプロに、現代の女性たちが抱えるリアルな悩みを聞く本連載もこれで最終回。最後は、清田さんが「ネット社会ならではのイマドキな相談だった」と話す、とある女性の悩みを聞いた(聞き手:ITmedia村上)。
「桃山商事」プロフィール
これまで1000人以上の恋バナを聞いてきた恋愛相談ユニット。“ずばっと言わないスタイル”で、さまざまな女性のリアルな悩みに答えてきた。清田隆之さん(Twitter)と森田雄飛さんを中心に活動。著書『生き抜くための恋愛相談』(イースト・プレス)。
「モテすぎて困ってます」という切実な悩み
―― 「イマドキだなー」と思った恋愛相談があったのですよね。
清田さん はい。ネット社会ならではの悩みかな? と思ったのが、「男性からモテすぎて困る」という美女からの相談ですね。
―― それは悩みなのですか!?
清田さん 大体そういう反応になるじゃないですか(笑)。彼女にとっては切実な悩みなのに、誰にも相談できなくて困ってるんです。
―― 女友達に相談したら僻まれそうですし、男友達に相談したら「俺のこと好きなのかな?」と勘違いされそうですもんね。
清田さん そうなんです。すぐに男性に好かれてしまい、肩を組まれたりして体を触られるのがとにかく嫌で困っているという相談でした。25歳なんですけど、こんな体質じゃ一生まともな恋愛ができないんじゃないかと。
―― その相談、どこがイマドキなのでしょうか?
清田さん というのも、今のネット社会って下から目線が強いじゃないですか。例えば、この悩みをSNSに書いても、「モテてつらいってイヤミですか?」「私よりマシでしょ」っていう突き上げがどんどん来ますよね。
森田さん 「触られるのが嫌」って言っても、「触られるだけいいじゃん」と言う人が出てくる(笑)。うかつなことを言うと、上から目線だと批判されちゃうんですね。
清田さん 不幸合戦みたいになって、恵まれてる風な人ほど発言しづらい世の中だなと。それがイマっぽいなと思います。敵対意識を持たれないように、友達と話す内容がどんどん限定的になっていって、最後は天気の話くらいしかすることがなくなって(笑)。悩みが言語化されづらく、共感されづらく、認識されづらい人は、とても苦しいですよね。
―― その女性には、どんなアドバイスを?
森田さん すごく真面目な人だったので、ゆっくりと関係を築けて、もう少し自分を出せる相手と付き合える方法を考えました。例えば、恋愛を目的としない趣味のコミュニティーを自分で作ってみるとか。
清田さん 相手への想いと相手からの好意が一致してればストレスが生まれないと思うんです。「この人とは手をつなぐ関係性になってるな」と思ってれば、触られても嫌じゃないはずなんで。自分はすごい好きなのに、相手から全く触れられないのもストレスじゃないですか。
森田さん 私は変なんでしょうか? って聞かれたけど、全然変ではないし。嫌だと思ってるのは事実だから、我慢するのもおかしいですよね。
―― なるほど、ぜいたくな悩みだと思われて人に話せないというのもつらいですね。話す相手がいないと、何にモヤモヤしているかも分からないですし。
清田さん 大きな話になっちゃいますけど、日本人って個人主義の文化がないから、自分という人間をはっきり分かってない人が多いんじゃないかなと。
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