「人間失格は、質の高い豊かな苦み」――“AIバリスタ”が文学作品をコーヒーに NECが開発
人工知能(AI)を活用し、『人間失格』などの“読後感”を味わいで再現したブレンドコーヒー「飲める文庫」を、NECが開発した。
NECは10月24日、人工知能(AI)を活用し、文学作品を読んだ後の感想を“苦味”や“甘味”などで再現したブレンドコーヒー「飲める文庫」を開発したと発表した。『人間失格』『吾輩は猫である』など6作品の味を用意し、コーヒー豆専門店「やなか珈琲」が27日から期間限定で販売する。100グラム当たり950円(税込)。
文学作品のレビュー文に「悲しい結末だった」「切なさが湧き上がってきた」などの表現があれば苦味を強く、「青春時代の懐かしさを感じた」とあれば甘く――と判断するようAIに学習させた。学習データには、NECのデータサイエンティストが用意した1万件以上のレビュー文を使用したという。
こうして感情に対応する“味”を覚えたAIが、『若菜集』(島崎藤村)、『人間失格』(太宰治)、『吾輩は猫である』『こころ』『三四郎』(夏目漱石)、『舞姫』(森鴎外)のレビュー文を分析し、作品ごとに苦味や甘味、余韻などを評価したレーダーチャートを作成。その結果をレシピ代わりに、やなか珈琲店がブレンドコーヒーを考案、開発した。
例えば『人間失格』の場合は、「高地産アラビカ種などをベースに、スムーズな飲み口のペルー、スッキリとした苦味のブラジルをブレンド」「淡々と語られる人間の弱さを、滑らかな口当たりで飲みやすく、質の高い豊かな苦味で表現した」という。
NECは「人とAIの協調を身近に感じてもらうため、飲める文庫を開発した」という。同技術に関連するデモンストレーションを「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2017」(11月9〜10日、東京国際フォーラム)で披露する。
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